
美容情報
アレルギー反応(過敏反応)とは、通常は無害な物質に対して免疫系が異常な反応をすることを言います。
~アレルギーのメカニズム~
アレルゲン(抗原)というアレルギーの原因となる物質が体内に入る。
⇒B細胞と呼ばれる白血球の一種により抗体《IgE(イムノグロブリンE)という血液や体液の中に存在する免疫グロブリンで、異物が体内に入った時に排除するように働く抗体の機能を持つタンパク質の一種》を作る。
⇒IgEは、アレルゲンを攻撃するための化学物質をため込んだ、体中の組織に常在する白血球の一種であ
るマスト細胞(肥満細胞)に絡みつく。
⇒IgEができた(感作された)人が再度アレルゲンにさらされる。
⇒アレルゲンがマスト細胞に絡みついた抗体と結合する。
⇒その情報が細胞内に伝わる。
⇒マスト細胞が壊れて、その中の化学伝達物質(ヒスタミンなど)が放出される。
⇒周囲の組織に腫れや炎症を起こし、くしゃみ、鼻水などを誘発させる。
特に多くアレルギー反応を誘発するアレルゲンは以下のものです。
吸入性アレルゲン:花粉、チリダニの糞、動物の、カビなど。
食物性アレルゲン:卵、乳、小麦など。
接触性アレルゲン:ラテックス(天然ゴム)、洗剤、金属、化粧品、パーマ・カラーなど。
アレルギーの発生には、遺伝因子や環境因子がともに関係しています。アレルギーが家族内で遺伝する傾向がみられるため、遺伝子が関与していると考えられています。
アレルギーの病気は、年齢によって発症しやすいアレルギーが異なるという特徴もあります。
アレルギー反応は通常15~20分くらいで起こりますが、遅延型の反応もあります。遅延型アレルギー反応には抗体が介さず、T細胞という免疫に関与するリンパ球が関わっていて、半日~数日で症状が起こります。日本ヘアカラー工業会が推奨しているパッチテストの観察は、30分後と48時間後に行うことになっています。
~政府広報オンライン~
『ヘアカラーによる「かぶれ」に要注意! アレルギーが突然発症することも。』
『ヘアカラーによる「かぶれ」に要注意! アレルギーが突然発症することも。』
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201905/2.html
日本ヘアカラー工業会
『ヘアカラー(酸化染毛剤)の皮膚アレルギー試験(パッチテスト)の方法』
https://www.jhcia.org/mov/patchtest.mp4
アトピー性皮膚炎とは、皮膚の上層に生じる、かゆみを伴う慢性的な炎症です。
~アトピー性皮膚炎の定義~
「皮膚症状が悪くなったり改善したりを繰り返し、強いかゆみのある湿疹が認められ、アトピー素因をもつ」
アトピー素因とは、アトピーになりやすい体質のことで、
①自分や血のつながっている親族(両親、兄弟、祖父母)がアトピー性皮膚炎や、他のアレルギー疾患(気
管支喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎)を持っていたり、その既往歴がある。
②様々な物質に対して、IgE抗体と言われる即時性アレルギーに関する抗体を産生しやすい。
という体質を言います。
精神的ストレス、気温や湿度の変化、特定の空気中の粒子(チリダニ、カビ、動物の鱗屑など)、一部のスキンケア製品(化粧品、香料、石けんなど)、発汗、刺激を与える衣類との接触(特にウール製品、化学繊維製品)などによってアトピー性皮膚炎が誘発されることがあります。
痒い部分をかいたりこすったりすると皮膚に傷が生じます。そこから細菌が侵入し、皮膚、皮下組織、付近のリンパ節に感染症を引き起こすことがあります。皮膚の広範囲の炎症と鱗屑が生じることもあります。
皮膚を刺激することが分かっている物質や食品との接触を避けることで、発疹を予防することができます。精神的ストレスを減らすように努めることも必要です。
~アレルギーポータル(厚生労働省)より~
・感作とは・
アレルゲンが体の中に入ると異物とみなして排除しようとする免疫機能がはたらき、「抗体」という物質が作られた状態をいいます。
・寛解とは・
病気が完全に治った「治癒」という状態ではありませんが、病気による症状や検査異常が消失した状態をいいます。
乳児期のアトピー性皮膚炎が最初に発症して、その後、食物アレルギー、喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎というように発症していく傾向があります(必ずしもすべての人がこのような流れになるわけではありませんが)。様々なアレルギーの病気が年齢によって次々と発症してくる様子を音楽隊の行進になぞらえて『アレルギーマーチ』と呼んでいます。
アトピー性皮膚炎は、早期に正しく診断し、治療をおこなうことが重要な病気です。症状は個人により異なりますので、自己判断はせず、医師の判断を仰ぐことが大切です。
そして、適切な治療により症状をコントロールするとともに、スキンケアを継続します。アトピー性皮膚炎で大切なスキンケアとは、皮膚を清潔にして、保湿することで皮膚のバリア機能を保ち、皮膚への刺激を避けることです。
アナフィラキシー反応は急に発症して広い範囲にわたり、生命を脅かすほど重症化することもあるアレルギー反応です。
全身にかゆみやじんま疹、腫れが出たり、(空気の通り道である気管や気管支が狭くなって、呼吸するときヒューヒュー、ゼーゼーなどと音がすること)や呼吸困難が起きたり、失神したりします。
これ以外のアレルギー症状が出ることもあります。
アナフィラキシー反応は通常初めてアレルゲン(アレルギー反応を誘発する物質)にさらされたときには生じませんが、二度目にアレルゲンにさらされたときに生じる可能性があります。
一度アナフィラキシー反応を起こしたアレルゲンは、予防策を講じておかないと二度目にさらされたときに再びアナフィラキシー反応を起こすおそれがあります。
アナフィラキシー反応の誘因として最も多いのは、薬(ペニシリン等)、虫刺され、動物の毒、ある種の食物(特に卵、魚介類、ナッツ類)、ラテックス(天然ゴム)など、あらゆるアレルゲンが原因になります。
アナフィラキシー反応は、心臓の拍動が速くなり、不安になったり興奮したりします。
また血圧が下がって失神したり、危険な状態にまで下がることがあります。
その他の症状には、めまい、かゆみ、皮膚の紅潮、せき、鼻水、くしゃみ、 じんま疹、皮下組織の腫れ(血管性浮腫)があります。のどや気道が収縮したり腫れたりするため呼吸困難になり、喘鳴も起こります。吐き気、嘔吐、腹部けいれん、下痢がみられることもあります。突然倒れ、呼吸が止まり、けいれんを起こし、意識を失うことがあり、直ちに緊急の治療を行わないと死に至る可能性があります。過去にアナフィラキシー反応を起こしたことがある人はアドレナリン自己注射用キットを常時携行します。
自己免疫疾患とは免疫系が正常に機能しなくなり、体が自分の組織を攻撃してしまう病気
です。
自己免疫疾患の原因は不明です。
免疫系が正常に機能しなくなり、自分自身の正常な組織を異物と認識して自己抗体と呼ば
れる抗体や免疫細胞を産生し、これらが特定の細胞や組織を標的にして攻撃します。この
反応を自己免疫疾患と呼び、炎症と組織の損傷を引き起こします。
自己免疫疾患には、 バセドウ病、 関節リウマチ、 橋本甲状腺炎、尋常性乾癬などがあり
ます。円形脱毛症や尋常性白斑なども自己免疫疾患が原因と言われています。
2022年に東北大学より、皮膚細菌叢と自己免疫疾患の関係に関する研究成果が発表されま
した。
皮膚細菌叢への抵抗力の低下が自己免疫疾患発症と関連することを発見 〜自己免疫疾患発
症予防・治療法開発への期待〜
世界アレルギー機構(WAO)の定義では、以下のように過敏症とアレルギーの違いを定義
しています。
●過敏症(過敏反応)とは、正常な人には耐えられる一定量の刺激をうけることにより、客
観的に再現性のある症状をひきおこす疾患(反応)のことをさします。
●アレルギーとは、免疫学的メカニズムによって起こる過敏症(過敏反応)のことをさし、
アトピーは、低用量のアレルゲンに反応しIgE抗体を産生しやすい体質のことをさします。
人間の体には、異物や危険な侵入物から体を守るために、免疫システムが備わっています
。
抗原とは、免疫システムが認識できる物質であり、免疫反応を刺激できる物質でもありま
す。抗原が危険と認識される場合、その抗原は免疫反応を刺激します。細菌、ウイルス、
その他の微生物、寄生虫、がん細胞などは、その細胞の中あるいは表面に抗原をもってい
ます。また食物の分子や花粉のように、そのものが抗原であることもあります。
正常な免疫反応には以下のものがあります。
・異物の抗原を見つけ出す
・防御力を活性化および動員する
・抗原を攻撃する
・攻撃を制御し終了させる
免疫システムが異常を起こすと、体が自分自身に対し免疫反応を引き起こしたり(自己免
疫疾患)、体が微生物などの侵入に対し適切な免疫反応を示すことができなくなったりし
ます(免疫不全疾患)。通常は無害な異物の抗原に対して体の免疫が過剰に反応し、正常
な組織が傷つけられます(アレルギー反応)。
自然免疫、獲得免疫という防御システムには白血球が関わっています。白血球は血流に乗
って体内を巡り、組織に入り込んで微生物などの異物を見つけ出し、攻撃します。
自然免疫は、生まれつき備わっている免疫システムです。侵入した微生物などが体にとっ
て未知のものであっても、白血球(好中球やマクロファージなど)が攻撃します。異物を
認識する学習は必要なく、異物に直ちに反応できます。
獲得免疫では、リンパ球と呼ばれる白血球(B細胞と T細胞)が異物に遭遇すると、攻撃の
方法を学習し、次に遭遇するときにより効果的に攻撃できるようそれぞれの異物を記憶し
ます。いったん免疫ができれば、体は素早く反応することができます。
自然免疫と獲得免疫とは、相互に作用し合い、影響を及ぼし合います。
感染の症状として、 発熱、心拍数の増加、呼吸数の増加、不安、錯乱などがあります。
微生物とは、細菌やウイルスなど、ごく小さな生物のことで、微生物の多くは皮膚の表面
や口、腸内などに、病気を起こすこともなく定着しています。
微生物が細胞の表面に付着すると、そこを足場にして微生物が組織に侵入できるようにな
ります。
通常、人体は化学的、物理的障壁と免疫システムによって 感染症の原因となる微生物から
守られています。
化学的、物理的障壁には、皮膚、粘膜、涙、耳垢、粘液、胃酸などがあります。また、尿
も正常に流れることによって、尿路に侵入した微生物を洗い流します。
免疫システムは 白血球と 抗体を使って、身体の化学的、物理的障壁をかいくぐって侵入し
てきた微生物を見つけて排除します。
しかし、微生物の数が多いと、炎症を起こして微生物を抑え込むことができない場合があ
ります。炎症が起きている間は、その部位への血流が増加し、免疫細胞がその部位に到達
するのを助けます。血流の増加により、体の表面付近の感染部位は赤くなって熱をもちま
す。体温が上昇する(発熱が起きる)と、人体の免疫機能の性能が高まります。炎症に伴
って作られる物質の多くは神経を刺激するため、痛みが起こります。感染に伴うことの多
い悪寒、発熱、筋肉痛なども、炎症に伴い放出される物質に対する反応になります。
健康な人は、皮膚、鼻、口、のど、大腸、腟など、体の非無菌状態の部位に生息している
(コロニーを作っている)微生物の大半とうまく共存しています。常に体内の決まった部
位に集団で存在している微生物を「常在菌叢」と呼びます。
それぞれの部位の常在菌叢は、何種類かの微生物で構成されています。食事、抗菌薬の使
用、衛生状態、大気汚染、衛生習慣などの環境要因によって、各人がもつ常在菌の種類は
変わってきます。常在菌叢は、例えば皮膚の洗浄や抗菌薬の投与などによって一時的に変
化しますが、通常はすぐにもとの状態に戻ります。
常在細菌は、病気の原因となる微生物から人間の体を守ってくれることも多いのです。し
かし、抗菌薬の使用、ケガまたは手術、免疫系の機能低下(エイズやがんの患者、ステロ
イドの投与や化学療法を受けている人などでみられる)では、各人の常在菌の一部が病気
を起こすこともあります。
学術的な用語ではなく俗称ですが、常在細菌を、体を守る善玉菌、状況によって善玉菌の
味方をしたり悪玉菌の味方をしたりする日和見菌、増えすぎると身体に悪影響がある悪玉
菌と分類することがあります。通常は環境に適した細菌群がほぼ安定した割合で存在して
います。しかし、この常在菌のバランスが崩れてしまうと、抵抗力が弱まり、通常無害で
ある菌が、トラブルの要因に繋がってきます。
皮膚常在菌
一見、清潔に見える健康な皮膚にも、私たちの目に見えない1兆個以上の微生物が存在しま
す。これらは通常、健常な皮膚に病変を起こすことはなく、むしろほかの病原微生物の付
着、増殖を抑制していると考えられていて、皮膚の最外層である角質層に存在する生体由
来の物質(水分や塩類、皮脂やセラミド、脂肪酸、コレステロールなど)と相互に作用し
、外界からの様々な刺激から生体(おもに皮膚)を守る防御機能の一端を担っています。
表皮ブドウ球菌は、皮膚表面や毛穴に存在し、汗(アルカリ性)や皮脂をエサにして、グリ
セリンや脂肪酸を生成して皮膚のバリア機能を保っています。
アクネ菌は、酸素を嫌い毛穴や皮脂腺に存在し、皮脂をエサにして、プロピオン酸や脂肪
酸を生成し、肌を弱酸性に保つことで病原性の強い細菌の増殖を抑える役割をもっていま
す。皮脂分泌が多くなったり毛穴がつまると増殖して炎症を起こしニキビの原因となりま
す。
黄色ブドウ球菌は、皮膚表面や毛穴に存在し、病原性が高く皮膚がアルカリ性に傾くと増
殖して皮膚炎などを引き起こします。
マラセチア菌は皮膚表面に広く常在する真菌で高温多湿の環境で増殖しやすく、皮脂をエ
サにしているため、皮脂分泌量が増えるとマラセチアも増殖し、フケや脂漏性皮膚炎、の
原因となります。
これら常在菌のバランスが崩れると皮膚トラブルを起こします。なかでも表皮ブドウ球菌
が減るとアルカリを好む黄色ブドウ球菌や真菌の増殖につながります。
表皮ブドウ球菌は角質層に存在します。朝と夜に洗浄剤でやさしく洗えれば十分で、無理
に角質をとるのは良くありません。乾燥肌は皮膚の環境がアルカリ性に傾き、表皮ブドウ
球菌が存在しにくくなるので、乾燥肌を放置せずに保湿ケアを習慣づけましょう。
化学物質過敏症は、何かの化学物質に大量に接した後や、微量でも繰り返し接した後に発
症するとされています。化学物質への感受性は個人差が大きいため、同じ環境にいても発
症する人としない人がいます。また、症状も様々です。発症の仕組みについては、未解明
な部分があり、治療法も確立されていないため、原因不明の体調不良や周囲の理解がない
ことで苦しんでいる方への対応が、十分ではない現状があります。
現状では、複雑な病像を説明できるしくみや診断できる客観的な指標はありませんが、治
療に健康保険が適用されるようになっています
化学物質などによる、生物に悪影響を与える性質をいいます。通常は、毒性は一般毒性と特殊毒性に分けられます。
一般毒性は、血液検査、尿検査、病理組織学的検査などのような一般的な方法で観察できる毒性のことで、急性毒性と慢性毒性に分けられます。
●急性毒性:1回の投与(暴露)または短期間の複数回投与によって短期間(終日~2週間程度)に生じる毒性のことです。
●慢性毒性:長期間(通常6ヶ月以上)の連続または反復投与によって生じる毒性のことです。
例えば、お酒にはエタノールというアルコールの一種が含まれています。少しなら酔っ払って気持ちが良くなり、良いこともあります。しかし一度に大量に飲むと、急性アルコール中毒になります(一般毒性)。また、毎日飲み過ぎると肝臓などに害が出ます(慢性毒性)。
特殊毒性は、吸入や経皮などの特殊な投与方法によって現れる毒性や、遺伝毒性(変異原性)*1、発がん性、生殖毒性(繁殖毒性)*2、催(さい)奇形性(きけいせい)(発生毒性)*3などの特殊な観察法によって評価される毒性の事をいいます。医薬品等の評価などのために試験されます。
*1 遺伝情報(DNAあるいは染色体)に突然変異をひき起こす性質
*2 生殖能力および子孫の発育に悪影響を与える性質
*3 胎児に影響を与え、形態的な異常を生じさせる性質
ちなみに、中毒とは、有害物質を飲み込んだり、吸い込んだり、皮膚や眼、または口や鼻などの粘膜に接触したときに生じる有害作用です。中毒を起こす可能性のある物質としては、処方薬や市販薬、違法薬物、ガス、化学物質、ビタミン類、食べもの、キノコ類、植物、動物の毒などがあります。
皮膚は人体で最大の臓器であり、以下のような数多くの重要な機能を担っています。
・外傷から体を守る
・異物が体内に侵入するのを防ぐ
・体温を調節する
・水分と電解質のバランスを維持する(皮脂や汗の分泌)
・痛みや快感の刺激を感じとる(触覚、温覚、冷覚、痛覚)
・ビタミンDの合成に関与する
皮膚は生存に不可欠な化学物質や栄養素を体内に維持している一方、危険な物質が体内に侵入するのを阻止する障壁となり体を守っています(皮膚のバリア機能)。
皮膚には、表皮、真皮、皮下組織の3つの層があります。
表皮
表皮にある細胞の大半は角化細胞です。この細胞は、基底層と呼ばれる表皮の最下層の細胞から発生します。新たにできた角化細胞は表皮の表面に向かってゆっくり移動してきます。皮膚の表面に達した角化細胞は、徐々に剥がれ落ち、下の層から押し上がってくる新しい細胞に置き換わります(ターンオーバー)。表皮の外側の部分である角質層は、基本的に水を通さず、傷のない正常な状態では、ほとんどの細菌、ウイルス、その他の異物が体内に侵入するのを防いでいます。表皮の基底層全体に散在しているメラノサイトと呼ばれる細胞は、皮膚の色を決める主な要素の1つであるメラニン色素を作り出します。メラニンの最も重要な機能は、DNAを傷つけて 皮膚がんなど多くの有害作用を引き起こす日光中の紫外線(日光と皮膚障害の概要)を遮断することにあります。
真皮
表皮の下にある真皮は、線維組織と弾性組織で構成される厚い層で出来ています。大部分がコラーゲンでできていますが、少量ながら重要な働きをするエラスチンの要素も含まれます。この層があることで、皮膚は柔軟でかつ丈夫な組織になっています。真皮内には神経の末端(神経終末)、汗腺と皮脂の分泌腺(皮脂腺)、毛包、血管があります。
皮下組織
真皮の下には脂肪組織の層があり、体を外気の熱や寒さから守り、クッションのように体を保護する役割と、エネルギーを蓄える役割を担っています。脂肪は脂肪細胞という生きた細胞の中に蓄えられており、この細胞は線維組織によって結合しています。
皮膚のバリア機能とは体外からの異物の侵入を防いだり、体内の水分の蒸発や体液の漏出を防いだりする皮膚の働きのことです。
この働きは、主に角質層の物質通過を抑えるものです。
皮膚には異物(アレルギーの原因物質や細菌・ウイルス)や外界からの刺激から自分の組織を守る力『生体防御システム』が備わっています。
生体防御には,異物が体内に侵入するのを防ぐしくみと、体内に侵入した異物を排除するしくみ(免疫)とがあります。
第一の防御壁は表皮で、角質細胞がレンガを積み上げたように重なっており、外界からの刺激や異物の侵入を防ぐバリア機能を果たし、異物の侵入を化学的、物理的に防ぎます。汗腺・皮脂腺の分泌物は皮脂膜を形成し、皮膚表面を弱酸性に保ち、細菌の繁殖を防ぎます。そして汗には、細菌の細胞壁を破壊する酵素が含まれています。
次に、体内に侵入した異物を排除するしくみ(免疫)があります。第二の防御機構は自然免疫です。第三の防御機構は獲得免疫です。
免疫を正常に働かせるためには、第一の防御壁である表皮を健やかに保つことが大切であり、アレルギーや過敏症から体を守ることに繋がります。
皮膚炎は、皮膚の上層の炎症であり、かゆみ、水疱、発赤、腫れを生じ、多くの場合、じくじくしてかさぶたになり、鱗屑(りんせつ)(うろこ状のフケ)が生じます。
原因には、皮膚の乾燥、特定の物質への接触、特定の薬、静脈瘤、絶え間なく掻くことなどがあります。
いずれもかゆみを伴う赤い発疹を引き起こす様々な病気を総称する用語で、重度の乾燥、ひっかき、刺激物、アレルゲンに対する皮膚の反応です。
免疫システムは体を守ってくれる大切な働きをしていますが、防御反応として炎症が起こり、それが不快と感じてしまうことがあります。皮膚で起こるこれらの症状が、「皮膚炎」です。
治癒までの経過(湿疹三角)
紅斑……皮膚の赤み
丘疹……盛り上がったブツブツ
小水疱…小さな水ぶくれ
膿疱(のうほう)……膿をもった状態
湿潤……ジュクジュクとただれた状態
結痂(けっか)……かさぶた
落屑(らくせつ)……かさぶたがはがれる
これらの経過をたどり治癒に向かいます。一般的にはこれらの症状が混在して見られます。
慢性化すると、以下のような症状も現れます。
苔癬(たいせん)化……皮膚が厚くなり粗くザラザラの状態
色素沈着……皮膚の一部の黒ずみ
接触皮膚炎は、特定の物質に直接触れることで皮膚に炎症が起きる病気で、いわゆる「かぶれ」のことです。発疹は非常にかゆく、特定の部位に限定され、多くは境界がはっきりしています。
物質により皮膚の炎症が引き起こされる仕組みは、刺激(刺激性接触皮膚炎)、アレルギー反応(アレルギー性接触皮膚炎)のいずれかです。
●刺激性接触皮膚炎は、接触皮膚炎の全体の80%を占め、化学物質により皮膚が直接損傷されることで生じます。典型的な刺激物としては酸、アルカリ、溶剤、石けん、植物などがあります。非常に刺激の少ない石けんや洗浄剤でも、頻繁に使用したり長時間使用したりすると、人によっては皮膚が刺激されることがあります。
●アレルギー性接触皮膚炎は、皮膚に触れた物質に対して免疫系が反応を起こすことで発生します。アレルギー性接触皮膚炎の原因になる物質は何千種類もあり、女性の約10%は、アクセサリーに含まれていることの多いニッケルに対するアレルギーをもっています。皮膚炎の治療に使用される軟膏、クリーム、ローションさえ、そのような反応の原因になります。
仕事で触れる多くの物質により皮膚炎が生じることもあります(職業性皮膚炎)。
特定の物質に触れた後に、紫外線にさらされて初めて接触皮膚炎が起こることもあります(光アレルギー性接触皮膚炎または光毒性接触皮膚炎)。
接触皮膚炎は、皮膚炎の原因になる物質(原因物質)との接触を避けることで予防することができます。
光線過敏症は日光アレルギーとも呼ばれ、日光によって引き起こされる免疫系の反応です。皮膚にかゆみを伴う発疹や、発赤、炎症が生じます。
通常では反応が起きないような紫外線の量でも症状が出ることがあります。また、紫外線だけでなく、日光に含まれる可視光線で症状が出ることもあります。どの程度の日差しを浴びたら皮膚症状が起きるかは個人差が大きいため、重度の場合は、屋内で窓から差し込む日光を浴びるだけで反応してしまうケースもあります。
化学物質による光線過敏症が発症することもあり、光毒性と光アレルギー性の2種類があります。
・光毒性は、症状は日焼けと似ていますが、特定の薬剤(抗菌薬、抗精神病薬、利尿剤など)や化合物を服用するか皮膚に塗った後(香水や油など)に、日光にあたった場合に現れます。光毒性は必ず、日光にさらされた部分の皮膚だけに発生します。
・光アレルギー性では、アレルギー反応によって、発赤、鱗屑、かゆみが生じるほか、ときにじんま疹に似た水疱や斑点が現れます。このタイプの反応の原因としては、アフターシェーブローション、日焼け止め、抗菌薬などがあります。よく使用される痛み止めの湿布剤にも注意が必要です。日光にさらされていない部分の皮膚にも発生します。通常は日光にあたってから24~72時間後に発生します。
UVカット効果のあるカーディガンや日傘、サングラス、つばの広い帽子などで紫外線から身を守り、明らかに原因がはっきりしている場合は、原因となる物質の接触・摂取を避ける事が対策になります。
かゆみは体を守る防御反応のひとつです。さらに体の異常を知らせるサインでもあります。
かゆみがあると、かくことで一時的にかゆみは治まりますが、皮膚が傷つくことがあり、ときには、さらなるかゆみが起こったり(かゆみとかくの悪循環)、感染(二次感染と呼ばれます)が起こったりすることもあります。
かゆみの原因としては、一般的なのは皮膚の病気ですが、ほかの臓器の病気(全身性疾患)や薬、化学物質もあります。
・かゆみのメカニズム
外部からの刺激
⇒肥満細胞から分泌されるヒスタミンによりかゆみを引き起こす
⇒ヒスタミンが知覚神経に作用
⇒脳にかゆみとして伝達と同時に神経末端にも伝達
⇒神経ペプチドを放出し肥満細胞を刺激
⇒さらにヒスタミン等を分泌
また、乾燥肌になると、皮膚バリア機能が破綻し、かきむしることで表皮が損傷します。通常なら皮膚の表皮と真皮の境界部にとどまっているはずの知覚神経が、角質層のすぐ下、すなわち体の表面近くまで伸びてきます。この状態になると外界の刺激に対して知覚神経が敏感になるため、衣服がこすれたり、石鹸を使ったりといったわずかな刺激でもかゆみを感じるようになります。アトピー性皮膚炎、乾癬、乾皮症などの皮膚疾患に加えて、透析患者さんの肌はこのような乾燥肌の方が非常に多く、かゆみの刺激に過敏になっていることが考えられます。
内臓疾患によるかゆみは、抗ヒスタミン薬でかゆみが改善しないことに加えて、肌には目立つ異常はなくても夜も眠れないようなかゆみがしつこく起こり、乾燥肌の特徴がみられる場合があります。
紅斑や、血管腫(赤あざ)、酒さでは、皮膚に赤い斑点や血管の拡張があらわれます。血管腫は生まれたときからみられ、酒さはお酒飲みに多く、鼻の先や頬や顎に生じる血管の拡張です。
また、皮膚の色を決定する色素の量がさまざまな原因により増加・減少することで、皮膚色に異常があらわれる疾患があります。
ヒトの肌の色を決める色素は、主に、カロチン(黄色の成分)、ヘモグロビン(赤色の成分)メラニン(茶色、黒、紺色の成分)です。
これらの色素が増加もしくは減少することで皮膚の色に異常があらわれます。
たとえばカロチンの量が変化することで皮膚の色に異常があらわれるものとしては柑皮症が有名です。
皮膚が黒色になるものとして黒子(ほくろ)、紫色の斑点のできる紫斑病、白い斑点を生じる尋常性白斑、色素沈着をきたす肝斑、雀卵斑(じゃくらんはん)(そばかす)などがあります。
紅斑とは、真皮内血管、特に毛細血管の拡張、充血により生じるもので、隆起や、陥没などは見られない皮疹のことです。皮膚で何らかのトラブルがおきると、血液の成分が血管内でいろいろな炎症物質を出すことでトラブルを解決しようとします。毛細血管の活動が活発なため表面は赤くなり、紅斑として認識されます。毛細血管が開いているため赤くなるので、指などで圧迫すると赤い色は消えます。
なんらかのアレルギーで生じるじんま疹の中には膨疹という一見紅斑に見える症状があります。こちらはヒスタミンによって毛細血管から一時的に血液成分が漏れている状態で、数時間から24時間以内に消失するので紅斑とは異なる病態です。
内臓疾患が合併していることはよくありますので、注意が必要です。
皮膚や粘膜で見られる赤血球の血管外漏出、いわゆる内出血を紫斑といいます。指などで押しても血管から漏れ出た血液成分の行き場がないため、赤みは赤みとして残り、色の変化が認められません。
紫斑には炎症を伴うものと、伴わないものがあります。非炎症性紫斑には血小板の機能に異常がある場合、止血に必要なタンパクが低下した場合、老人性紫斑のような、皮膚が萎縮したり、血管がもろくなることにより血液が漏れてしまう場合などがあります。一方、炎症性紫斑は主に血管炎で生じます。
紫斑で注意する点は、全身性に生じている出血の一皮膚症状としてみられる場合です。皮膚・粘膜の一部に出た紫斑という大事なサインを見逃さず、注意することが大切です。
斑点の例として、雀卵斑(じゃくらんはん)(そばかす)、肝斑、黒子(ほくろ)などがあります。指などで押しても色の変化は認められません。
多くは皮膚にメラニンと呼ばれる色素が大量にたまることによって発生します。紫外線の刺激、皮膚の摩擦や炎症など日常生活上のささいな原因によってメラニンの産生量が増加します。メラニンは、紫外線から皮膚を守るためにメラノサイト(色素細胞)という細胞で作られますが、この細胞は表皮の一番深いところにある基底層と呼ばれるところにあって、ほかの細胞の間に散在しています。紫外線以外の要因によっても、皮膚に点状または斑状(限局性)または広範なメラニンの増加が生じることがあります。
ニキビやケガ、火傷、虫刺されをした部位が炎症を起こし、炎症によって刺激を受けたメラノサイトがメラニンを生成します。通常は刺激がおさまれば色素沈着も落ち着いていき、肌のターンオーバーとともに、徐々に薄く目立たなくなることが多いのですが、症状が悪化した場合などは消えずに炎症後色素沈着として残こるケースもあります。ムダ毛処理を続けたワキなどの毛穴が黒ずんでくる現象も、この色素沈着に分類されます。
尋常性白斑とは、皮膚の色のもとであるメラニン色素を産生するメラノサイト(色素細胞)が何らかの原因で減少または消失し、皮膚の色が白く抜けてしまう病気です。尋常性白斑でメラノサイトが減少する原因としては、メラノサイトに対する自己免疫異常やストレスなどの説が考えられていますが、不明な点も多くあります。尋常性白斑と似たような病気はいくつかありますが、尋常性白斑は後天的で、完成した病変部では境界線がはっきりしているという特徴があります。
かゆみや痛みなどの症状はなく、尋常性白斑自体が生命に危険が及ぶことはありませんし、他の人にうつる病気でもありません。 しかし、小さな白斑でも、徐々に大きく広がる事も多く、見た目の影響から、精神的なストレスを感じる可能性があります。
主な類似疾患としては、以下のようなものがあります。
●薬剤による白斑
薬剤や化学物質などがメラノサイトを障害することによって、白斑が発生することがあります。原因がはっきりとしているため、通常の白斑と区別する事が必要です。2013年には、白樺の樹皮などに含まれる成分ロドデノールが配合された化粧品を使用した方に、白斑が生じたという事例がありました。
●先天性白皮症(アルビノ)
先天的に色素細胞が機能していない、または、色素細胞が皮膚に存在していない疾患を先天性白皮症といいます。全身が白く、瞳が青いという症状などが現れます。
●感染症
細菌・ウイルス・真菌の感染によって、皮膚の色が抜け、白くなることがあります。代表的なものとしては、癜風が挙げられます。
●老人性白斑
老化により、色素細胞であるメラノサイトが減少するため、白斑が生じることがあります。
癜風(でんぷう)(なまず)は、皮膚に常在する真菌であるマラセチア菌が原因で生じる、表皮に発症する真菌感染症です。この菌はマラセチア毛包炎や脂漏性湿疹の原因菌でもあります。
細かい鱗屑が付着する淡褐色斑(黒色癜風)あるいは脱色素斑(白色癜風)が生じ、俗に黒色癜風を「黒なまず」、白色癜風を「白なまず」ともいいます。
夏に多く、汗で蒸れたり脂っぽい皮膚の環境下で、マラセチア菌が増えすぎて起こります。胸、背中、脇などに多くみられ、自覚症状はほとんどないか、あっても軽度のかゆみがあるくらいです。マラセチア菌を抑える抗真菌剤などで治療しますが、また夏になって再発することがあります。肌が湿っているとマラセチア菌が繁殖しやすくなるので、肌を清潔にすることやスキンケアが大切です。マラセチア菌は常在菌の一つで誰の皮膚にも存在している菌です。他人への感染の可能性は低いと考えられています。
髪色に関係しているのは色素幹細胞、色素細胞(メラノサイト)、メラニン色素、毛母細胞(ケラチノサイト)です。そのどれかに問題が生じて働きが悪くなると、メラニン色素の量が減り、白髪になります。それが一時的なものなら黒髪に復活する可能性がありますが、色素幹細胞が枯渇してメラニン色素がゼロになると復活は不可能になってしまいます。
主な原因は加齢と考えられますが、他にもさまざまな原因があると言われています。
・加齢
・遺伝
・栄養不足
・頭皮の血流不足
・ストレス
白髪は老化や遺伝など避けられない原因もありますが、毎日の何気ない生活習慣やストレスなどが原因になっていることも少なくありません。
顔には皮脂腺や汗腺などが数多く存在しているため、発疹が起きやすい部位だといえます。比較的頻度が高い病気の場合もあれば、注意が必要な病気の症状である場合もあります。
顔の発疹は、以下のような比較的よくある病気が原因のことがあります。
・尋常性ざ瘡(にきび)
毛穴に皮脂が溜まってできた発疹を「白にきび」、白にきびにアクネ菌が感染して炎症反応が起こった状態を「赤にきび」と呼ぶこともあります。症状の進行に応じて皮膚の隆起や赤みを生じ、重症化すると皮膚の陥没や色素沈着を起こすこともあります。
・接触皮膚炎
「かぶれ」とも呼ばれます。特定の物質の皮膚への接触が原因となって起こる皮膚の炎症で、シャンプーや化粧品など、さまざまな物質が原因になることがあります。小さな赤い発疹や、水ぶくれなどが現れるほか、皮膚のかゆみや痛み、ただれが起こることもあります。
・酒さ
酒さは、通常は顔面の中央部に発赤と小さな吹き出物が現れ、皮膚の下の血管がはっきりと見えるようになります。典型的な症状として、頬と鼻に生じる発赤、細い血管が見える、ときに小さな吹き出物などがあります。毛細血管が広がり、通常よりも多くの血液が流れることから酒さの症状は現れます。
・皮脂欠乏性湿疹
一般的に「乾燥肌、ドライスキン」と呼ばれる状態が悪化した症状のことです。皮膚の保湿環境を保つためのバリア機能が失われ、ちょっとした刺激で皮膚に炎症を起こすようになります。皮膚炎を発症すると皮膚にかゆみ、赤みなどが現れます。
・アトピー性皮膚炎
かゆみを伴う湿疹が現れる病気で、回復と悪化を繰り返すことが特徴です。アトピー性皮膚炎はさまざまな原因が組み合わさることで起こりますが、汗をかきやすい夏や乾燥しやすい冬に悪化する傾向があります。
・じんま疹
皮膚の一部に少し膨らんだ発疹(膨疹(ぼうしん))が現れることが特徴で、一般的にかゆみを伴います。
症状が続くことは少なく、その多くが短時間で消失します。食物やストレスが原因となるものもありますが、原因が不明のものも多く、アレルギー反応の症状として現れることもあります。
・帯状疱疹
水痘帯状疱疹ウイルスにより起こる病気です。初感染時には水痘(俗に言う「水ぼうそう」)と呼ばれますが、その後も体内に隠れたウイルスが免疫機能の低下などによって再活性することで帯状疱疹として発症します。ぴりぴりとした皮膚の痛みに始まり、赤みや水疱などの皮膚症状が現れることが特徴です。
顔は紫外線や化粧品、摩擦などの刺激によってメラニン色素の産生が増え、シミができやすい部位です。メラニン色素は、皮膚の深層にあるメラノサイトが刺激を受けて活性化することでつくられる物質です。皮膚の表層に染み出して沈着するとシミになります。
顔のシミは、このメラニン色素が異常増加することが原因となることがあります。
・肝斑(かんぱん)
頬骨や鼻の下、額などに左右対象にできる均一な濃淡のシミです。肝臓の形に似ているため、このような名前がついています。肝斑の多くは女性に発生し、特に中年女性に多くみられます。原因はいまだ分かっていませんが、肝斑の悪化には紫外線と女性ホルモンが影響すると考えられています。しかし、この具体的なメカニズムは不明です。
・雀卵斑(じゃくらんはん)(そばかす)
鼻を中心に左右対称に小さな点が広がるシミで、幼児期に発症し思春期頃に濃くなることが多く、遺伝性があると考えられており、特にメラノサイトを活性化する刺激がない場合にも発症します。
・老人性色素斑
紫外線が原因でできるシミで、シミの中では発生頻度が一番高いタイプです。頬骨やコメカミにできやすく、平らで丸い色素斑です。時がたつにつれて徐々に濃くなってくるという特徴があります。加齢によって発生しやすいばかりではなく、若いころから日焼けした人ほど発生しやすいため、10代や20代で出来ることもあります。ターンオーバーが乱れると、シミの原因となるメラニンも排出されずに、古い細胞とともに蓄積されます。これが繰り返されると、色素沈着が起こり、シミの原因になります。
・炎症性色素沈着
主に、傷跡やニキビ跡によるシミです。肌が炎症を起こすことがシミの原因になります。メラニン色素が分泌されるのは、紫外線を浴びたときだけではありません。炎症などにより肌が刺激されることで、多量に分泌されたメラニン色素が肌に残り、炎症性色素沈着の原因になります。また、炎症部分に紫外線が当たることで色素が濃くなってしまうこともあります。
また、活性酸素はメラノサイトを刺激するので、過剰に黒色メラニンが生成されてしまい、シミができる原因になります。活性酸素が発生する原因は、紫外線や大気汚染、ストレス、タバコなどがあります。
シミの原因であるメラニンは、表皮の一番下、基底層にあるメラノサイトという色素細胞で生成されます。メラノサイトがメラニン生成の指令を受けると、メラノサイトの中にあるチロシンというアミノ酸がチロシナーゼという酵素の働きによりメラニンへと変化します。生成されたメラニンは、表層へ向かいその後、通常は肌のターンオーバーによって体の外へ排出されます。
しかし、何らかの理由によってメラニンが過剰に生成されたり、肌のターンオーバーのサイクルが乱れたりしていると、作られたメラニンが排出しきれず、シミとして残ってしまうのです。
メラニンが生成される一番の原因となるのが紫外線です。紫外線を浴びる頻度と時間を減らすことで、シミを増やさないようにすることができます。
乱れてしまった肌のターンオーバーを改善し肌の代謝機能を正常に戻すためには、まずは生活習慣を見直しましょう。寝不足や無理なダイエット、過剰なストレス、食生活の乱れ、運動不足、便秘、冷え性、疲労などが原因で肌のターンオーバーが乱れてしまうと言われています。そして、丁寧なスキンケアで、肌のターンオーバーを改善し、健康な肌を保ちましょう。
シワは、主に真皮の構造の変化によるものです。赤外線、紫外線などのダメージによりコラーゲン(膠原線維)が傷付けられると、肌の弾力が低下し、シワが形成されます。
主な原因は、以下のようなものがあります。
・乾燥
加齢による水分量や皮脂量の低下、気温の変化などで肌が乾燥すると、バリア機能が低下して外界からの刺激を受けやすくなるため、シワの発生につながります。
・紫外線
波長が長いUV-Aは真皮まで到達し、肌のハリを保つために必要なエラスチン(弾性線維)を傷付けます。その結果、肌の弾力が低下して、シワができることがあります。また、UV-Bも光老化に大きな影響をおよぼすとされています。さらに、波長が長ければ長いほど、肌へ透過する深さも深くなります。近赤外線は3つの光の中でも一番波長が長いため、肌の深層部まで到達します。真皮層にまで光が到達し、コラーゲンやエラスチンが光のダメージにより損傷することで、肌のシワやたるみにつながります。
・女性ホルモンの減少
女性ホルモンの一つであるエストロゲンは、コラーゲンやエラスチンの生成に関わっています。更年期を迎えてエストロゲンの分泌量が減少すると、肌のハリが低下し、シワができやすくなります。
「にきび」は医学用語では「尋常性ざ瘡」と言います。毛穴に皮脂や老化角質が溜まってできた発疹を「白にきび」、白にきびにアクネ菌が感染して炎症反応が起こった状態を「赤にきび」と呼びます。症状の進行に応じて皮膚の隆起や赤みを生じ、重症化すると皮膚の陥没や色素沈着を起こすこともあります。
毛穴の中には、毛根を包んでいる“毛嚢(もうのう)”と呼ばれる袋状の組織があります。毛嚢には脂を分泌する“脂腺”と呼ばれる腺が付いており、これが毛嚢の中に皮脂を分泌しています。しかし、ホルモンバランスが崩れる(女性では生理前後が多い)と、皮脂の分泌が過剰になることで毛嚢の中が皮脂で充満し、皮膚表面が盛り上がってきてしまいます。これが、にきびの始まりである白にきびです。その後進行すると、炎症が生じたり、膿がたまったりするようになり、治癒後ににきび跡が残ってしまうこともあるため、適切な治療を行うことが大切です。にきびはさまざまな年齢の人にみられますが、特にホルモンバランスの崩れやすい思春期の人によくみられます。成人以後のにきびは、ホルモンバランスのみでなく肝障害や薬剤の影響でみられることがあります。
にきびの主な原因は皮脂の分泌が盛んになることと、毛穴の出口が固くなること(異常角化)です。いずれも男性ホルモンのはたらきが大きく関与していることから、ホルモンバランスの乱れやすい思春期に多くみられます。毛穴の出口が塞がれ、皮脂が詰まってしまいます。すると、皮脂を栄養源にしているアクネ菌が過剰に増殖し、炎症を起こして発疹ができるにきびとなります。特に思春期に増加する男性ホルモン(アンドロゲン)には皮脂の分泌を高める性質があります。思春期ににきびの発生が多いのは、この影響と考えられます。
また、もともと脂性肌であったり、糖分・油分の多い食生活やストレスの増加などもホルモン分泌の異常や皮脂分泌の促進につながり、ニキビの発生、悪化の原因となってしまいます。
さらに、にきびを引き起こしたり悪化させたりする因子として、肌に合わないスキンケアや過剰洗浄による皮膚の乾燥のほか、便秘、ストレスの蓄積、睡眠不足などが挙げられます。また、女性の場合、月経前は女性ホルモンが低下することでにきびが起こりやすくなる人もいます。
頭は皮脂の分泌が豊富なうえに、頭髪によって通気性が低下しがちなため不潔になりやすい部位です。
・尋常性ざ瘡(にきび)
毛穴内に皮脂などの老廃物が溜まることで、皮膚常在菌のアクネ菌が増殖して炎症を引き起こす病気です。
・毛包炎、せつ(おでき)
毛穴の内部に細菌感染が生じて炎症を引き起こし、悪化すると膿の塊を形成する病気です。
・接触皮膚炎、アレルギー性皮膚炎
特定の物質にかぶれたり、アレルギー反応を引き起こしたりすることで皮膚に炎症が生じる病気です。
・粉瘤
毛穴の一部が皮下に落ちくぼみ、その内部に皮脂などが蓄積することでできものを形成する病気です。
・脂肪腫
良性の腫瘍で、柔らかいしこりとして触れますが、通常は痛みなどの症状は伴わず、腫瘍が急激に増大することもありません。
毛包炎とは、毛根を包む毛包や毛嚢に炎症が起きた状態のことです。
具体的には、表面にとどまる炎症を毛包炎、毛包の下部まで炎症が及んでいるものを毛嚢炎といいます。
にきびは毛穴に皮脂などの汚れが詰まることでアクネ菌が増殖することで炎症が起きるのに対し、毛包炎は、毛包に細菌(主に黄色ブドウ球菌、マラセチア菌)が感染することで炎症が起こります。
傷などから毛穴に細菌が入り込み、炎症を起こすことが原因で生じます。
髭剃りやムダ毛処理の後に毛包炎が起こりやすいのはそのためです。原因となる主な細菌として皮膚にいる常在菌「黄色ブドウ球菌」と「表皮ブドウ球菌」が挙げられ、両方が同時に感染する場合もあります。大きさによって“毛包炎→せつ→よう”と定義されます。
脂肪腫とは、皮下の脂肪組織が増殖することによって生じる良性腫瘍です。皮膚の下のやわらかいできものとして触れることができます。部位や大きさによっては盛り上がってふくらんだようにみえることもあります。通常は痛みを伴うことはありません。このため、通常は治療の必要がなく経過観察を行うのみです。腫瘍で違和感が生じるような場合や日常生活に支障をきたしているような場合には切除が行われることがあります。
脱毛は、脱毛症とも呼ばれ、体のあらゆる部位に生じます。全身性疾患の徴候である可能性もあります。
毛髪の成長には毛周期があります。各周期は次の段階から構成されます。
成長期:持続期間は2~6年間、退行期:持続期間は3週間、休止期:持続期間は2~3カ月間。
休止期の終わりになると、その毛髪は抜け落ち(脱毛期)、新しい毛髪が毛包の中で成長を始めて新たな周期が始まります。正常であれば、毎日50~100本程度の頭髪が休止期の終わりを迎え、頭皮から抜け落ちていきます。
毛周期の乱れの主な原因は、ホルモンバランスの乱れであり、さらに加齢や生活習慣などの原因によって、頭皮の血行が悪くなると、毛根に栄養が行き渡らず、髪の毛の成長が遅くなったり、新しい髪の毛自体がなかなか生えてこなくなる原因につながることが考えられます。また、慢性疲労、ストレス、内科疾患など複数の要素が重複して出現するといわれています。
・アンドロゲン性脱毛症(AGA)
最も一般的な原因です。遺伝とともに、男性ホルモンの一種であるジヒドロテストステロンというホルモンが大きく関与しています。男性では、脱毛は生え際または頭頂部から始まって、後頭部に進んでいくのが通常です。毛周期を繰り返す過程で成長期が短くなり,休止期にとどまる毛包が多くなります。このようなパターンは男性型脱毛症と呼ばれます。
女性では、脱毛は頭頂部から始まりますが、完全に毛が抜けるのではなく、薄くなるのが通常です。一般的に、生え際は変化しません。女性ホルモンが減少し、男性ホルモンが優位になることで起こる脱毛症の症状で、女性男性型脱毛症(FAGA)と呼ばれます。
・女性型脱毛症(FPHL(フィメールパターンヘアロス))
女性に発症する脱毛症の総称です。女性型脱毛症のなかにはFAGA(女性男性型脱毛症)や円形脱毛症、牽引(けんいん)性脱毛症、出産後脱毛症、頭皮のトラブルによる脱毛症などが含まれ、広義な女性の薄毛の症状に対して使われる言葉です。男性ホルモンが主な原因となるAGA(男性型脱毛症)と異なり、頭頂部を中心に比較的に広い範囲で頭髪が薄くなるパターンとして観察され、また、発症時期についても男性とは異なり、更年期に多発するようになります。FAGA発症の要因の一つは、毛周期の乱れと考えられます。
・円形脱毛症
典型的には不規則な丸い斑状の脱毛が突然起こります。より広い範囲で頭髪や体毛の脱落が起きることもあります。この病気は、免疫系の機能に異常が生じて、その人自身の組織を攻撃してしまうこと(自己免疫反応)で生じると考えられています。
・びまん性脱毛症
様々な原因によって広範囲に薄毛が広がっていく“びまん性の脱毛症状”の総称です。特に女性の薄毛は部分的な脱毛ではなく薄毛が頭部の全体で進行し、髪の毛全体のボリュームが減っていくことが特徴とされているため、びまん性脱毛に分類されます。
・真菌感染症
頭部白癬(しらくも)などがあります。頭部白癬は、小児で斑状の脱毛の原因としてよくみられる真菌感染症です。頭部白癬の経過中に化膿性炎症を伴ったケルスス禿(とく)瘡(そう)になることもあります。
・損傷(外傷)
牽引性脱毛症(三つ編み、アミカーラーの使用、ポニーテールなどで髪の毛に常に引っぱる力がかかることで生じる脱毛)や、中心部から周囲に広がる瘢痕(はんこん)性脱毛症(頭皮の瘢痕化を伴う脱毛で、ヘアエクステンション、ストレートパーマ剤、ヘアピースの使用が原因で起こる場合がある)、熱傷や放射線があります。
内分泌系は、ホルモンをつくって分泌することにより体の様々な機能の調節や制御を行う腺や器官の集まりです。ホルモンとは、体の他の部分の働きに影響を与える化学物質のことです。ホルモンはメッセンジャーとして働き、体のそれぞれの部位の活動を制御し、協調させます。内分泌系の各腺はそれぞれ特定のホルモンをつくります。内分泌系の主な腺には視床下部、下垂体、甲状腺、副甲状腺、膵(すい)島(とう)細胞、副腎、精巣、卵巣があります。
加齢とともに増加するホルモンや減少するホルモンがあります。女性では、卵巣ホルモンのエストロゲン濃度の低下が 閉経につながります。男性では、精巣ホルモンのテストステロン濃度が徐々に減少します。成長ホルモン濃度の減少は筋肉量の減少と筋力低下につながります。脳の松果体(しょうかたい)から分泌されるメラトニン濃度の減少は、加齢に伴う正常な睡眠覚醒サイクルの乱れに重要な役割を果たしている可能性があります。
産後、急に抜け毛が増えることを「出産後脱毛症」などと呼びます。
髪は1日で50〜100本ほど抜け落ちていますが、産後の抜け毛は多い人では200本以上抜けてしまうといわれています。髪全体のボリュームダウンや地肌の透け、額の生え際あたりが後退していくなどの症状が現れます。産後の抜け毛の中でもホルモンによる原因は大きく、妊娠中と出産時ではホルモンバランスの変化により、体の中ではさまざまな変化が起こります。エストロゲン(卵胞ホルモン)という女性ホルモンには髪の毛の成長期を長くする作用があります。つまり毛髪を増やす作用があるのです。出産が近づくにつれてプロゲステロン(黄体ホルモン)やエストロゲンの分泌量が増えます。これにより成長期の毛髪が増え脱毛が少なくなります。出産すると本来のホルモンバランスに戻り、成長期だった毛髪が一気に抜け落ちて休止期に入るので暫く抜け毛が続くことになります。このほか、子育てによるストレスや睡眠不足などによって、自律神経に良くない影響が及ぼされる状況も、産後の抜け毛が起きやすくなる原因となります。抜け毛のピークは産後半年ぐらいですが、その後徐々に落ち着いて、多くの場合およそ1年後には妊娠前の状態に戻るのが一般的です。
様々な原因によって広範囲に薄毛が広がっていく“びまん性の脱毛症状”の総称です。
特に女性の薄毛は部分的な脱毛ではなく薄毛が頭部の全体で進行し、髪の毛全体のボリュームが減っていくことが特徴とされているため、びまん性脱毛に分類されます。
太陽の光には、目に見える光(可視光線)のほかに、目に見えない赤外線や紫外線が含まれています。紫外線とは地表に届く光の中で、最も波長の短いものです。紫外線は波長の領域とそれに伴う性質によって、A、B、Cの3つに分けられます。
UV-C(100~280nm)は空気中の酸素分子とオゾン層で完全にさえぎられて地表には届きません。
UV-B(280~320nm)も同様にオゾン層などにさえぎられて地表に届く量が減りますが、完全にさえぎられるわけではありません。地表に届く量がオゾン層の変化に影響されることから、現在地表に届くUV-Bの増加が懸念されています。UV-Bによって、皮膚の中でビタミンDが生成されます。ビタミンDの主な働きは、腸からのカルシウムの吸収を2~5倍程度に増加させることです。ビタミンDが不足すると、食事でカルシウムを摂っていても十分吸収されず、カルシウム不足におちいります。私たちは日光紫外線を使って自分の体内でビタミンDを作ります。体内に豊富に存在する7-デヒドロコレステロールは、皮膚にUV-Bが照射されると皮下でビタミンDとなります。つまり、食事からのビタミンDと日光紫外線によるビタミンDの両方を使って、必要なビタミンDを得ています。
UV-A(320~400nm)は、UV-BやUV-Cに比べて体への影響は小さいですが、その多くが地表に届くため、長い時間あたると肌などに影響があることが懸念されています。波長が長く真皮にまで届きます。
代表的な紫外線による人体への悪影響には、日焼け、シミ、しわ、白内障、DNA損傷による皮膚がんや免疫機能の低下などが挙げられます。さらに近年、ブルーライトや近赤外線も光老化の原因として注目されています。
髪は、地肌から出ている部分を毛幹、地肌の中にある部分を毛根と呼びます。毛根の一番奥の毛球で、髪の元となる毛母細胞が、毛乳頭からの指示で、分裂・増殖し、各部位に分化しさらに角化したものが毛髪です。
毛髪は、角質化したタンパク質であるケラチンでできています。皮膚にたとえるなら、角質層や老化角質に相当します。毛幹部といわれる目に見える髪の毛は、枝毛・切れ毛になって傷付くと再生することはできません。外側からキューティクル(毛小皮)、コルテックス(毛皮質)そして中心部であるメデュラ(毛髄質)の3層構造になっています。
間充物質(マトリックス)とは毛髪のコルテックス(毛皮質)の中にあり、コルテックスには、フィブリルという結晶性ケラチンタンパク質が束状にたくさん入っているのですが、そのフィブリルとフィブリルの間を埋めてフィブリル同士を接着している物質です。
間充物質には2種類あります。マクロフィブリルの間を埋める間充物質は、メラニン色素、NMF、非ケラチンタンパク質で、親水性が高い性質です。マクロフィブリルの中にあるミクロフィブリルの間を埋める間充物質は、非結晶性のケラチンタンパク質で疎水性です。
毛髪の元となる毛包幹細胞と色素幹細胞は毛包のバルジ領域に存在します。
バルジ領域で作られた色素幹細胞は毛球部に移動してメラニンを産生し、そのメラニンが毛母細胞に取り込まれます。つまり、バルジ領域の色素幹細胞が少なくなると白髪が生えることになります。
また近年、毛包幹細胞は色素幹細胞の生存、増殖をサポートすることがわかってきました。
「手荒れ」といえば、空気が乾燥する冬場に多く、水仕事が多い主婦や調理師、美容師などに起こりやすい皮膚トラブルです。しかし、最近では感染症対策の徹底により、手洗いやアルコール消毒の回数が増えたことで手荒れに悩む人が増えています。今や手荒れは、季節や職業、年齢を問わず、誰にでも起こりうる身近な皮膚トラブルになりつつあります。
空気の乾燥や気温の低下、手洗いや水仕事などによって手指の皮脂が取り除かれるとバリア機能の働きが低下し、皮膚内部から水分が逃げ出して乾燥肌の状態になります。悪化すると、手の皮膚に赤みやかゆみを伴うブツブツや、水ぶくれ(水疱)、ジュクジュクした傷などが混在した「手湿疹」という皮膚の病気へと進行します。手湿疹になると、皮膚の炎症によって、赤み、かゆみ、痛み、腫れなどの症状が現れます。
日頃から手荒れ予防に取り組むことが重要です。日常生活では、熱いお湯で手洗いや水仕事を行うと必要な皮脂まで流されてしまうため、水またはぬるま湯で手を洗います。流水でしっかりとすすぎ、洗剤が残らないようにし、優しく、押さえるように水分を拭き取ります。手袋は、パウダーフリー、ラテックスフリーのものを使用し、完全に乾いた手に装着します。ハンドケア剤は、手荒れの有無に関わらず日頃から頻回に使用し、皮膚の水分保持機能の低下を防ぐこと、また角層バリア機能を正常に保ち、水分の蒸発や外部からの刺激、体内への異物の侵入を防ぐことが大切です。
ヒトの睡眠(眠気)は大きくふたつのシステムで形作られています。
第一のシステム:覚醒中の疲労蓄積による睡眠欲求です。睡眠欲求は目覚めている時間が長いほど強くなります。
第二のシステム:覚醒力です。覚醒力は体内時計から発信されるシグナルの指示で、交感神経の活性化、覚醒作用のあるホルモンの分泌、深部体温(脳温)の上昇などによりもたらされます。
一晩の睡眠は、全体として、寝ついた最初のところで最も深く眠り、睡眠欲求が低下する朝方になるほど浅くなっていきます。レム睡眠は、眠っているときに眼球が素早く動き、高率に夢を見ており、覚醒時と同じぐらい脳が活発に活動しています。ノンレム睡眠では脳波活動が低下します。
同じ人でも睡眠時間は季節や年齢によって変動するので、あまり睡眠時間の長短にはこだわる必要はありません。また、睡眠時間は個人差もあり、5時間未満の短時間の睡眠で大丈夫な人から、成人でも10時間以上の睡眠を必要とする人までさまざまです。睡眠時間にこだわり過ぎるとかえって睡眠が浅くなったり、不眠に陥ることが多いようです。睡眠には、年齢、日中の活動、環境、アルコール、ストレスが影響します。休養感を高めるためには、日中の運動・身体活動を増やす、就寝前にリラックスし、嗜好品に注意する、寝室の環境を整えるなどの生活習慣を見直しましょう。不眠の症状が週の半分以上の日にみられ、それにより日中の眠気、集中力の低下、気分の落ち込みなどが生じ、日常生活に支障を伴う状態が続く場合、不眠症の可能性があります。不眠の背景に、うつ病や不安症といった精神疾患だけでなく、睡眠時無呼吸症候群や身体疾患が隠れている場合もあります。早めに医療機関へ相談することをおすすめします。
毎日のヘアケア、スキンケアやボディケア、生活習慣といったホームケアは、外からの刺激から髪や頭皮、肌を守り、正常な髪や皮膚を保つために行います。
また、汚れを落として保護することで、髪や肌トラブルを防ぐ効果が期待できます。ホームケアにおいて、健やかで美しい髪や肌を目指すことは、 単に美しさを追求するだけではなく、自分自身の身体や命を守ることに通じます。
紫外線や加齢、生活習慣の乱れなど、何らかの要因で肌のバリア機能が正常に働かなくなると、肌が乾燥し、外部からの刺激を受けやすくなり、肌あれなどのトラブルにつながります。保湿は、肌の健康を守るためには欠かせないもので、うるおいが保てないときは、保湿剤などを補ってバリア機能をサポートすることも大切です。
髪はヘアカラーやパーマをかけた時だけではなく、紫外線や熱、摩擦などでもダメージを受けています。 そのため、ヘアケアをしないと徐々に髪のトラブルが増えてしまいます。 一度傷んでしまった髪は、完璧に元の状態に戻すことはできません。日頃のシャンプーやトリートメント、ヘアオイルなどのヘアケアが大切です。
髪や頭皮、肌のお手入れとともに、規則正しい生活習慣を心がけることも重要です。
肌は食べたものから作られるので、食習慣は大切です。糖質や脂質、タンパク質、ビタミン類、ミネラルなど、さまざまな栄養をバランスよく十分にとることです。
睡眠時は、日中に外部からの刺激で傷ついた肌を修復します。しかし、睡眠不足だと肌のターンオーバーが乱れ、肌荒れや乾燥、シミなどの原因となります。睡眠時間が短くなったり、夜更かししたりすると睡眠の質が下がりやすくなり、肌トラブルの原因となります。
また、運動すると全身の血行と代謝が良くなります。血行と代謝が良くなると、栄養や酸素が肌に届き、老廃物を排出します。
化粧品における防腐とは、化粧品を製造してから流通過程を経て消費者が使い終わるまでの間に、使用または取り扱いのうえで偶発的に混入してくる微生物の増殖によって起こる製品の変質、変臭などを抑制し、製品の劣化を防止するための技術のことをいいます。
化粧品では製造時の汚染(一時汚染)、また実際に使用する際の空気中の浮遊菌や皮膚から侵入する微生物からの汚染(二次汚染)を防止するために、主に細菌や真菌の繁殖・増殖を阻止し、品質を保持する目的で防腐剤が用いられています。化粧品は未開封で3年の品質保証が適用される場合が多く、多くの場合は未開封状態で3年以上、開封後では1年前後、品質が維持できる必要量の防腐剤が配合されます。
中でも、パラベン類は人体に対する毒性が低く、微生物、特にカビや酵母に対して効果的であるためによく使用されています。パラベンとは物質名パラヒドロキシ安息香酸エステル(別名:パラオキシ安息香酸エステル)の一般名称です。 いくつか種類のあるパラベンの中でも、一般的にはメチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベンが主に使用されています。
パラベンは天然物中にも広く存在していることが知られています。植物中のパラベンやパラヒドロキシ安息香酸はポリフェノール類に分類されますが、身近な野菜やフルーツにも広く含まれていることが古くから知られています。
パラベンは80年以上前から化粧品だけでなく医薬品、食品の防腐剤としても使用されています。古くから使用されていたことから、その効果や安全性に関する情報が数多くあります。また、パラベンは他の防腐剤に比較して低い含有量で優れた効果を示すことに加え、毒性がほとんど認められないことが特徴と言えます。
幹細胞とは、さまざまな細胞のもとになる細胞のことです。人間の体は、60兆個もの細胞でできていますが、それらを作り出すもととなっているのが「幹細胞」です。たとえば、肌の細胞は1〜2ヶ月、血液中の赤血球は約120日で新しい細胞に生まれ変わっています。そのときに大きな役割を果たしているのです。
幹細胞は、自分とまったく同じ能力を持った細胞に分裂する「自己複製能」と、自分以外の細胞を作り出す「分化能」の2つの能力をもっています。これら2つの特殊な能力により、新しい細胞が生まれたり、組織を修復したりできるのです。
近年、再生医療分野などでよく使われるES細胞とiPS細胞も幹細胞の一種です。ES細胞とは、「EmbryonicStemCell」の略で、日本語では、「胚性幹細胞」といいます。胚の内部細胞を用いて作られた幹細胞です。胚は、受精卵が数回分裂し、100個ほどの細胞の塊になったもので、この胚の内部にある細胞を取り出し培養したものがES細胞です。iPS細胞とは「induced pluripotent stem cell」で、「人工多能性幹細胞」といいます。人間の皮膚や血液などの体細胞に、多能性誘導因子を導入し培養することによって、人工的に、様々な組織や臓器の細胞に分化する能力とほぼ無限に増殖する能力をもつ多能性幹細胞に変化させます。
幹細胞美容
幹細胞は由来により大きく3つの種類に分類することができ、ヒト由来・植物由来・動物由来のものが存在します。特に医療や美容において頻繁に使われるのは、ヒトの細胞から作ったヒト由来の幹細胞であり、植物や動物由来の幹細胞以上のメリットがあると言われています。
幹細胞コスメに配合されているのは幹細胞を増殖させた際の培養物から抽出した培養液「幹細胞培養上清液」であり、幹細胞そのものが配合されているわけではありません。成長因子、サイトカイン、アミノ酸、ビタミン、ミネラルなどの老化の進行を妨げる効果が期待できる様々な成分が含まれています。
髪の毛に、白く見える「節」みたいなものができて、そこからプチプチちぎれます。パッと見では、髪の毛に白い点々がついているように見えます。「結節性裂毛症」と言います。
ただのダメージヘアの場合もありますが、髪が作られる時点で問題が発生している場合もあります。その場合は頭皮の状態や体の状態もチェックが必要となり、対処方法もそれに応じたものとなります。毛皮質線維が露出・断裂して、絵筆の先を向かい合わせたような像を呈する毛幹形態異常です。正常な髪でも、物理化学的障害が加わると発生しますが、毛幹が弱くなる先天性あるいは後天性疾患が背景にあれば、軽微な外力でも発症します。
後天性結節性裂毛症は毛幹の形態異常の中では、比較的多い症状です。消耗性疾患、鉄欠乏性貧血、甲状腺機能異常などの内因性の原因と、物理的な外的刺激(過度のヘアケア、頭皮マッサージ、ブラッシング、ドライヤー、アイロン、ヘルメットやかつらの装用、カラーリング、パーマ、縮毛矯正、長時間の紫外線暴露、プールの塩素など)によるものが考えられています。
髪が縦に(毛軸方向に)裂けたものを枝毛、横方向に切れたものを切れ毛といい、いずれもキューティクルが薄くなっている毛先で起こりやすい現象です。カラー、ブリーチ、縮毛矯正、アイロン使用時に強く引っ張るなどを繰り返すと、切れ毛になることが多いようです。切れ毛や枝毛は白っぽく見えることがあります。
出来てしまった枝毛や切れ毛は、修復することはできません。 それは髪の毛が、すでに死んでしまった細胞だからです。 毛髪は爪と同じように自分で修復する機能はありませんので、一度枝毛になると元には戻りません。早めに枝毛になる原因を知って、予防することが大切です。
枝毛の原因のひとつが、摩擦や静電気です。キューティクルは、うろこ状に規則正しく重なり合っています。 強引なブラッシングで必要以上の摩擦を加えると、キューティクルがめくれてしまう原因になります。 絡んでいる髪は丁寧に指でほどいてから、ブラッシングしてください。 またキューティクルは、濡れた状態だと開いてしまいます。 キューティクルが開いた状態でブラッシングすると、髪が傷む原因になります。
また、髪の自然乾燥は、枝毛ができる原因になります。髪が濡れた状態だと、キューティクルが開きっぱなしになり、コルテックスのタンパク質や水分がどんどん流出してしまいます。 また髪が濡れたままで寝てしまうと、枕などとの摩擦によって、キューティクルが剥がれやすくなってしまいます。 髪に湿気があると雑菌が増殖してしまい、かゆみやにおいの原因になる場合もあります。 髪をシャンプーしたら、きちんと乾かすようにします。
また、キューティクルは、熱にも弱い性質があります。 しかし髪を自然乾燥させるよりは、タオルドライしてからドライヤーで短時間で乾かすことをお勧めします。
ビビリ毛というのは癖とは別に髪がダメージによりチリチリ、パサパサになり広がり指通りも悪くなってしまっている髪のことを言います。このビビリ毛という髪の状態になってしまうのは縮毛矯正、カラー、パーマなど髪に負担のかかる施術によると考えられます。ビビリ毛になってしまっている髪はもう髪として機能しなくなってしまっている毛で、切れ毛の一歩手前ですのでいつ髪が切れてもおかしくない状態です。ダメージがかかっている状態というのは髪のキューティクルが剥がれて髪のタンパク質が外に流失し、手ぐしを通すと毛先の方で引っかかる状態の事をさします。
また、ポーラス毛(多孔性毛)というのは、髪に刺激を与えすぎて、髪の毛の内部のタンパク質や間充物質が流れ出てしまって髪の中がスカスカ(からっぽ)の状態になっていることをいいます。髪は水分不足などで乾燥毛になり見た目ではツヤやハリがなくなり、枝毛や切れ毛がとても多くなってしまいます。
・システイン酸
髪のケラチンタンパク質はシステイン同士が側鎖で繋がれてシスチン結合(S-S結合)しています。システイン酸とは、シスチンが過剰酸化してできた成分です。システイン酸が生成されやすいのは、パーマ剤やカラー剤を使用したときです。パーマの際には、還元剤でシスチン結合を切断し、酸化剤でシステインを再結合させますが、再結合せずシステイン酸になってしまうことがあります。また、紫外線を浴びると、髪の成分が酸化してしまうため、システイン酸は日焼けでも発生します。
・ランチオニン
パーマや縮毛矯正などでかなり強いアルカリ性の薬剤に長時間さらされると、切断されたシスチン結合の片方のシステインが「デヒドロアラニン中間体」というアミノ酸に変わってしまいます。すると、このデヒドロアラニン中間体と切れたシステインが反応してランチオン結合になってしまいます。ランチオニン結合が増えるとパーマや縮毛矯正がかかりにくくなり、シスチン自体も減少してしまうのでどんどんヘアダメージは増えていってしまいます。
パーマ・カラーによるダメージが気になる方は、髪に優しい薬剤を選び、必要以上に薬剤を髪に塗布しないことです。薬剤を的確に管理するためにも、サロンで施術することをお勧めします。
髪がパサつく時は、髪の水分が足りていない感じがしたり、乾いた髪の毛が広がってまとまりにくかったりします。髪の表面は、主にタンパク質で角化したキューティクルで覆われています。キューティクルは髪の外側にうろこ状に重なり合っているのが特徴ですが、なんらかのアプローチによりダメージを受けることによって、繊細なのでめくれたり剥がれたりして傷んでしまい、髪のパサつきの原因になります。ホルモンバランスの崩れやストレスによる血行不良、紫外線によるダメージなど、何らかの要因で頭皮環境が乱れて健康な髪の毛が育たなくなってしまい、髪にパサついた質感が現れていることもあります。
・シャンプー時の摩擦
髪の表面にあるキューティクルは濡れると非常にもろく、少しの摩擦でも剥がれてしまうことがあります。まず髪を濡らすとキューティクルが開く性質からその状態のキューティクルはシャンプーの摩擦によって剥がれやくなってしまいます。シャンプーをする時はこすったりせず、ふくよかな泡で頭皮をしっかり、髪は優しくもつれないように洗うことが重要です。
・熱によるダメージ
キューティクルはドライヤーやヘアーアイロンなどの熱でも傷んで剥がれることがあります。シャンプー後に使用するドライヤーは、髪に近づけすぎたり、正しい角度でなかったり、必要以上に長時間使用することで、髪がパサついた質感になることがあります。そうならないように、ドライヤーは正しく使用することが大切です。
・自然乾燥によるダメージ
自然乾燥しようとして濡れた髪をそのままにしていると、キューティクルが開いた状態が続きます。この状態の髪はダメージを受けやすく、髪内部の水分がどんどん抜けてパサついた質感になってしまいます。また、濡れたまま放置すると、雑菌も繁殖しやすくなり頭皮環境にも良くないため、ドライヤーで素早く乾かすようにしましょう。
・パーマ剤・カラー剤
パーマ剤は、コルテックスに作用することで髪の内部にまでダメージが届きやすくなり、毛髪内部の成分が流れ出てしまうことでパサつきや絡まり、髪の不自然なうねりなどが出やすくなると考えられています。
ヘアカラーによって髪色が染まっていくのは、含有された薬剤がキューティクルを剥がし、内部に染料を浸透させていくため。ヘアカラーの繰り返しは、毎回毎回髪の表面のツヤやうるおいを守るキューティクルが剥がれていく状態になるため、内部のコルテックスが強いダメージを受け、パサつきや頭皮の乾燥などにつながることがあります。
くせ毛とは、髪の毛の主成分であるタンパク質の結合が歪み、髪にうねりや縮れなどが出ることといわれています。毛根や毛穴が歪んでいることで、そこから生えてくる髪も歪んでしまうこともあります。また、くせ毛の原因には先天的なものと後天的なものがあると考えられています。
先天的なくせ毛は遺伝の影響だと考えられています。遺伝によるくせ毛は、髪内部のたんぱく質バランスの偏りや毛根の形がもともと曲がっていることが原因です。
くせ毛の種類としては下記のパターンに分けられます。
・波状毛
波打つようにうねったくせ毛。
・連珠(れんじゅ)毛(連球毛)
一定の間隔で太くなったり細くなったり、数珠をつなげたような形で、くせ毛というよりは毛髪の形状が変形している状態です。髪の毛の細い部分が切れやすいため、縮毛矯正が難しいといわれているタイプです。
・捻転(ねんてん)毛
髪の毛がらせん状にねじれてうねっているくせ毛。髪の毛が細くて柔らかい人に多いです。くせが弱いとストレートのようにも見え、くせが強いとクルクルとカールした立体的な形状になります。立体的なくせの場合は髪が絡みやすくボリュームが出やすくなるのが特徴です。
後天的にくせ毛になる原因には様々あります。
・ヘアケアを怠ったことによる毛穴・毛根の歪み
ケアを怠り頭皮の汚れが毛穴に詰まることで毛穴の形が歪むことが考えられます。また、逆に洗浄力の強いシャンプーで洗いすぎて頭皮に必要な脂分まで除去してしまい、それを補おうと皮脂の分泌量が増えることで毛穴が詰まってしまうこともあるとされています。
・ホルモンバランスの変化
ストレス・不規則な生活・睡眠不足・栄養バランスの偏りなどを要因として、あるいは体の成長期・妊娠出産によるホルモンバランスの乱れや変化で髪質が変わることもあります。
・加齢によるくせ毛
健康な髪は13%程度の水分量を保っていますが、年齢を重ねるにつれて水分量を 維持しにくくなることがあります。水分量が7%以下になると健康なキューティクルを維持することができなくなり、キューティクルが剥がれ落ちて髪内部の水分が流失してしまいます。こうした乾燥状態が続くと髪はうねりはじめ、くせ毛になりやすくなってしまいます。また頭皮が垂れ下がることによって 毛穴や毛根が歪み、くせ毛になるとも考えられています。
表皮は、肌の外側から順に角質層、顆粒層、有棘層、基底層という4つの層に分けられます。このうち、表皮の一番内側にある基底層でつくられた細胞が分裂して新しい細胞をつくり、少しずつ形を変えながら肌の表層に向かって押し上げられます。角質層まで到達した細胞がやがて垢となってはがれ落ちることで、表皮の細胞が生まれ変わります。肌に残されてしまったメラニンはシミやくすみの原因になってしまいます。また、肌に古い細胞が残ってしまっているということは、肌のバリア機能の低下につながってしまうことになります。
ターンオーバーの周期は、正常で若年の頬(ほお)は、基底層でつくられた細胞が角質細胞になるまでが約14日間、さらに角質細胞がアカとしてはがれ落ちるまで約14日間かかります。この基底層で作られた細胞が有棘層、顆粒層を経て、角質細胞になるまでを「細胞の分化」、角質層まで上がってきた細胞がアカとしてはがれ落ちるまでを「角質層の剥離(はくり)」と呼びます。部位によってターンオーバーの周期は変わり、例えば手や足などは、血行や表皮の厚さなどによりターンオーバーが比較的遅い部位です。
また、ターンオーバー周期には個人差があります。一般的には加齢によって細胞の分化と角質層の剥離が遅くなります。新陳代謝が低下し、ターンオーバーの周期が遅くなります。
・影響する要因
紫外線が肌に与える影響は様々ですが、ターンオーバーにも大きな影響を与えています。紫外線によるダメージを受けると肌は炎症を起こし、そのダメージを回復させるためにターンオーバーの前半部分である細胞の分化を異常に加速させてしまいます。その結果、未熟な細胞が形成され、皮膚バリアの低下につながります。また紫外線を浴びると、次のダメージを未然に防ぐためにメラニンを生成します。過剰にメラニンが生成されるとシミの原因にもなります。
乾燥などにより角質層の水分量が低下すると、角質層の剥離に関与する酵素の活性が落ちてしまいます。これによって角質層の剥離が停滞し、ターンオーバー速度が低下します。そして、肌のpHや間違った生活習慣、ストレスもターンオーバーに大きな影響を与えます。
帯状疱疹は、水ぼうそうと同じ「水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルス」で起こる皮膚の病気です。
体の左右どちらかの神経に沿って、痛みを伴う赤い発疹と水ぶくれが多数集まって帯状に生じます。
症状の多くは上半身に現れ、顔面、特に目の周りにも現れることがあります。
通常、皮膚症状に先行して痛みが生じます。その後皮膚症状が現れると、ピリピリと刺すような痛みとなり、夜も眠れないほど激しい場合があります。
多くの場合、皮膚症状が治ると痛みも消えますが、神経の損傷によってその後も痛みが続くことがあり、これは「帯状疱疹後神経痛(PHN)」と呼ばれ、最も頻度の高い合併症です。
加齢などによる免疫機能の低下や、疲労やストレスなども発症のきっかけになります。また、糖尿病やがんなどの免疫機能が低下する病気が原因になることもあります。
子どもの時に水痘・帯状疱疹ウイルスに感染した人は、このウイルスに対する免疫を持っていますが、獲得した免疫は年齢とともに弱まり、帯状疱疹を発症することが多くなる傾向があります。また、一度帯状疱疹になった人でも、体の免疫機能が低下すると再びなる可能性があります。
60歳代を中心に50歳代〜70歳代に多くみられる病気ですが、過労やストレスが引き金となり若い人に発症することも珍しくありません。そのため、ワクチンを接種してそのウイルスに対する免疫の強化を図り、病気の発症や重症化を抑えようというのが帯状疱疹の予防接種です。
帯状疱疹は、他の人に帯状疱疹としてうつることはありません。ただし、帯状疱疹の患者さんから、水ぼうそうにかかったことのない乳幼児などに、水ぼうそうとしてうつる場合があります。
乾癬(かんせん)とは、炎症性角化症に分類され、皮膚の角化・肥厚とともに炎症が生じる病気です。皮膚の表面の細胞が過剰に増殖することで銀白色の皮膚の粉(鱗屑(りんせつ))が付着した紅斑が全身に生じます。細菌やウイルスによって起きる病気ではないので、ほかの人に感染する心配はありません。
乾癬は併発する症状に応じていくつかのタイプに分かれています。
尋常性乾癬は乾癬の中でももっとも多い病気で、乾癬の約90%を占めます。頭部(髪の毛の生え際も含む)に最初に症状が出ることが多く、他に肘や膝、背部から腰臀部、下腿などの物理的な刺激を受けやすい部位にできやすいという特徴があります。かゆみは、悪化時に伴うことが多いですが、症状が固定されてしまうとまったくない場合もあります。かゆくて掻いたり、また擦れたりけがをしたりしたところに広がりやすい、という特徴もあります。
・関連する要因
尋常性乾癬の原因はまだ解明されていません。発症には、遺伝的素因、環境(後天的)要因、免疫学的要因が関わっていると推定されています。乾癬は家族内発症も見られることから、発症しやすいいくつかの遺伝子異常が想定されています。外傷や紫外線、感染症、薬剤などの刺激によって乾癬が誘発され、悪化します。その他に重要なのは、生活習慣と関連するメタボリックシンドロームです。肥満、高血圧、高脂血症、高尿酸血症、糖尿病が乾癬と深く関連し、ときには乾癬発症にも引き金を引くことが分かっています。もちろん、これらの生活習慣病もそれぞれ遺伝的背景と関連しているはずですので、完全に後天的な要因とは言い切れない面もあります。そして、飲酒や喫煙についても、乾癬そのもの、あるいは乾癬に対する治療の反応性に影響を及ぼすことが分かっています。もともと自己免疫反応が起きやすい体質の人に、ストレスや不規則な生活などの環境因子が加わると、免疫システムに異常をきたして自身を攻撃してしまい発症します。
乾癬の皮膚の症状は冬に悪化する傾向があるといわれています。乾燥しやすい冬は肌の角質が増すため注意が必要です。乾燥すると肌が痒くなりついつい掻いてしまうこともあるかもしれませんが、掻き壊し傷から乾癬が生じ(ケブネル現象)ますので、掻かないようにすることが大切です。
頭皮や生え際、お顔など皮脂の分泌が盛んな部位にできる湿疹です。
乳幼児期(乳児型):黄白色の脂っぽい厚いかさぶたが付着します。ほとんどが一過性で、自然治癒します。
思春期以降(成人型):頭部のふけが増え、細かい鱗屑(りんせつ)の付着した紅斑(こうはん)が生じます。かゆみはないか、あっても軽度であることがほとんどです。
一度発症すると改善や悪化を繰り返し、慢性化しやすくなります。症状がひどくなると、自然治癒することは難しくなります。医師に相談のもと早めの治療をおすすめします。
マラセチア菌が増殖する原因
・体質や遺伝的要素で皮脂の分泌が多い
・環境による皮脂成分・分泌量の変化
・ビタミンB2やB6などの代謝異常
・ストレス・生活習慣の乱れ
・間違ったヘアケア
・皮脂の分泌を促進する男性ホルモン(アンドロゲン)の影響
〈その他〉
似たような疾患に乾癬があります。 乾癬では、皮脂の分泌が多い部分だけでなく全身に症状がおよびますが、生え際にのみ現れた場合は両者を区別することが難しいこともあります。
〈日常生活の注意点〉
・正しい洗顔、洗髪
・食生活・生活習慣の見直し ・ストレス・過労・睡眠不足などの解消
・紫外線をさける
脂漏性皮膚炎ができやす場所
天然由来のビタミンDは、キノコなど植物由来のビタミンD2(エルゴカルシフェロール)と、魚類の肝臓や魚肉、卵黄由来のビタミンD3(コレカルシフェロール)に分類されます。ビタミンD2とビタミンD3は構造の一部が異なる同族体ですが、通常まとめてビタミンDとして扱います。ビタミンDの主な働きは、腸からのカルシウムの吸収を2~5倍程度に増加させることです。ビタミンDが不足すると、食事でカルシウムを摂っていても十分吸収されず、カルシウム不足におちいります。また、ビタミンDには免疫力を調節する働きがあり、インフルエンザなどの感染症への効果も期待できます。心筋梗塞などのリスクを低減する可能性があることもわかってきました。
私たちは日光紫外線を使って自分の体内でビタミンDを作ります。体内に豊富に存在する7-デヒドロコレステロールは、皮膚にUV-Bが照射されると皮下でビタミンDとなります。つまり、食事からのビタミンDと日光紫外線によるビタミンDの両方を使って、必要なビタミンDを得ています。
紫外線によるビタミンDの摂取は、地域や季節、時刻、天候、服装、皮膚色など多くの要因で左右されるため、一律に時間を表現することはできません。
国立環境研究所は、健康な生活を送るのに必要不可欠な成人の1日のビタミンD摂取量の指標とされる、5.5 μg(㎍=㎎の1/1000)すべてを体内で生成するとした場合に必要な日光浴の時間を、季節や時刻を考慮した数値を発表しています。たとえば、ビタミンD10μgを生成する時間は、長袖シャツ・長ズボンを着て手と顔を出している場合、7月正午の札幌8分、つくば6分、那覇5分です。12月正午では札幌139分、つくば41分、那覇14分となっています。
紫外線とビタミンD 国立環境研究所動画チャンネル
今、世界中でビタミンDが欠乏していると報告されており、日本でも東京都内のある調査では、約80%の人が欠乏していると報告されています。
紫外線を浴びすぎるとシミやシワ、皮膚がんの原因となることから、最近極度に紫外線を避ける風潮も見受けられますが、冬季の北日本などでは食物からのビタミンD摂取に加え、積極的な日光浴が推奨されます。
半透明のうろこ状のものが平たく4~10枚重なって、髪の内部組織を守る働きをしています。キューティクルは、濡れていると柔らかいため、特にこすれることによって、欠けたりはがれたりして、毛先ほどキューティクル枚数が少なくなっています。さらに、キューティクル1枚も多層構造です。
エンドキューティクルは柔らかく水で膨潤しやすい性質です。
キューティクルとキューティクルの境界には細胞膜複合体(CMC)があり、そこに脂質成分MEA(18-メチルエイコサン酸)が存在します。健常な毛髪では毛髪表面をMEAがおおっています。CMCは、キューティクル同士を接着し、キューティクルの剥離を防いでダメージから守り、柔軟性を与えます。水分を保ち、髪の栄養分の流出も防いでいます。ヘアカラーやパーマなどの薬剤の通り道でもあります。
ホルモン剤とは、糖尿病、がん、更年期、甲状腺など様々な病気の治療に使う薬です。外用薬(塗り薬)だけでなく内服薬や注射薬などもあります。
ステロイドは、もともと体内の副腎という臓器でつくられているホルモンで、このホルモンが持つ作用を薬として応用したものがステロイド剤(副腎皮質ホルモン)です。ステロイドホルモンを薬として使用すると、体の中の炎症を抑えたり、体の免疫力を抑制したりする作用があり、様々な疾患の治療に使われています。
皮膚に関連するホルモン剤としてステロイド外用薬の解説をいたします。
ステロイド外用薬
〈メリット〉
ステロイド外用薬の最大のメリットは高い治療効果と即効性です。塗布した部分の炎症を鎮める作用にすぐれており、湿疹・皮膚炎を中心に、皮膚疾患の治療に幅広く用いられているお薬です。
〈デメリット〉
ステロイド外用薬は体内に入るステロイドの量は微量のため、骨など全身に悪い影響を与えることはほとんどありません。また、ステロイド外用薬を正しく使用する分には、局所性副作用があらわれることはほとんどありません。
ただしステロイド外用薬の局所性副作用が一番多くみられるのは、ステロイドは怖いからと言って、症状を抑えることができない弱いステロイド外用薬を使用することにあります。症状を充分抑えることが出来ず治療を遅らせるため、局所性副作用が出るようになるからです。
〈注意点〉
効果を発揮させデメリットを抑えるためには正しい使い方が必要です。薬はあくまでも治療が目的であり、スキンケアのためのものではありません。自己判断で塗ったり止めたりすることは、逆に治療を遅らせてしまうことになります。
ステロイド外用薬は医師の指示の下で治療のために使い、部位や症状に合った強さのものを適量、正しく使用することが必要です。
重要なポイントはステロイド外用薬の使用による薬理作用とスキンケアを上手く組み合わせることで、皮膚のバリア機能を守り、皮脂膜の形成を助け、安定維持させることです。お薬はしっかりスキンケアをした後に使います。
かゆみとは、皮膚をこすったり引っ搔いたりしたくなるような不快な感覚のことをいいます。
かゆみは皮膚や体の異常を知らせるサインであるとともに、体を守る一種の生体防衛反応であると考えられています。
原因
① 汗や皮脂
汗や皮脂は「常在菌」によって分解・酸化⇒脂肪酸が頭皮を弱酸性に保つことで病原菌の繁殖が抑えられるのだが…
通常よりも汗や皮脂が多く分泌⇒かゆみを引き起こす原因物質も生成⇒頭皮にかゆみ
② 乾燥
頭皮の乾燥は肌のバリア機能の低下を招きかゆみを引き起こし、かゆみが生じることがある
③シャンプー剤などヘアケア製品
ヘアケア製品に含まれる成分で過敏症やアレルギー反応を起こすことも
また、成分とは関係なくシャンプーのすすぎ不足がかゆみの原因になることがある
④病気
接触皮膚炎、皮脂欠乏性湿疹(乾燥湿疹・乾皮症)、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、乾癬、頭シラミなど
⑤ストレス
日常的なストレスや不安等、内的ストレス⇒自律神経やホルモンバランスが乱れる
⇒かゆみの原因物質であるヒスタミンが過剰に分泌
かゆみを放置し続けていると頭皮環境が悪化し、さらにかゆみが増す可能性があり、フケやかさぶたといった症状が現れる場合があります。さらに薄毛や抜け毛の要因となるので、かゆみの症状は放置せず、悪化する前に医療機関を受診し、健康な頭皮環境を目指しましょう。
フケは頭皮から出る老廃物、つまり肌から出る垢のようなものです。人間の皮膚は、約6週間のサイクルで生まれ変わるターンオーバー(新陳代謝)という機能が備わっており、それは頭皮も同じです。ターンオーバーのときに古くなった頭皮の角質が皮膚の奥から押し出され、剥がれ落ちたものがフケなのです。通常のターンオーバーで発生するフケは垢のように小さく、通常は洗髪で取り除かれるため、目立つことはありません。
頭皮は体のなかでも、特に皮脂の分泌が盛んな部位です。さらに、頭皮には皮脂や汗などを栄養とするマラセチア菌という皮膚常在菌がいます。ほどよい皮脂は頭皮にうるおいをもたらし、マラセチア菌は雑菌や細菌の侵入を防いで頭皮の健康を守ってくれています。
ところが、何らかの理由で皮脂やマラセチア菌のバランスが悪くなり、多すぎたり少なすぎたりすると、頭皮のターンオーバーが崩れ、角質が大量に剥がれ落ちる「フケ症」と呼ばれる状態になるのです。
〈乾性フケ〉
粒子が細かい (乾性)
皮脂の分泌量が少ない
ターンオーバーのサイクルが早まる ⇒ 乾性フケ
未熟なまま剥がれ落ちた角質
原因:加齢
空気の乾燥
紫外線ダメージ
過度な洗髪や洗浄力の強いシャンプー
不規則な食生活
睡眠不足など生活習慣の乱れ
ホルモンバランスの乱れ
うるおいがなく乾燥した頭皮は免疫力が低下し、ターンオーバーのリズムが早まって未熟な角質細胞まで剥がれ落ちるようになります。もともと乾燥肌の方は頭皮も乾燥しやすく、乾性フケになりやすいと言えます。
〈脂性フケ〉
粒子が大きい(脂性)
皮脂が過剰にありマラセチア菌や細菌の増殖
地肌が刺激を受けてターンオーバーが乱れる ⇒ 脂性フケ
皮脂の酸化が進み汚れや古い角質と混ざる
原因:年齢(男性は10代に皮脂量が急増、60代まで横ばい)
(女性は10代に皮脂量は増えるが30代がピーク)
季節的な要因
不規則な食生活
睡眠不足など生活習慣の乱れ
ホルモンバランスの乱れ
もともと脂性肌タイプの人は、頭皮に皮脂や汗が人より多く発生するため、脂性フケになりやすいと言えます。さらに、菌の異常繁殖はフケだけでなく、かゆみやニオイ、炎症などを引き起こすこともあります。脂性フケは粘り気があるため毛穴に詰まりやすく、抜け毛の原因にもなります。
フケが発生する原因には皮脂量が大きく関係しますが、それ以外にも乾癬など注意したい症状がいくつかあります。
フケが出ること自体は自然な現象ですが、多量のフケが止まらない場合は頭皮環境が悪化している可能性があります。症状がひどくなる前に一度医療機関の受診をおすすめします。
〈紫外線が体に与える良い影響〉
・カルシウムの吸収を促すビタミンDの生合成
・乾癬やアトピー性皮膚炎などの治療(皮膚科)
〈紫外線が体に与える悪い影響〉
・一度に大量の紫外線を浴びる⇒日焼け⇒皮膚の赤み、腫れ、痛みなど(サンバーン)
⇒メラニンが増加して黒くなる(サンタン)
赤く腫れて痛みを伴う日焼けはやけどの状態(熱傷分類でI度(皮膚の表面だけのやけど))特に、水ぶくれや強い痛みなどがある場合は治療が必要になることがあるので注意が必要
・少量の紫外線でも長年にわたって浴び続ける
⇒コラーゲン、エラスチンが分解されて減少⇒しみやシワ(光老化)
⇒イボなどの皮膚の良性腫瘍や皮膚がんにつながることも
皮膚の免疫反応を抑えてしまうことも
〈日焼け対策〉
日陰を選ぶ
衣服でガードする
日焼け止めを使う
〈日焼け止めの効果〉
UV-A:波長が長く真皮まで届く UV-Aを防ぐ目安 PA + ~ ++++
肌を黒くする
長時間浴びると肌の老化
UV-B:肌に炎症を起こす UV-Bを防ぐ目安 SPF 2 ~ 50
色素沈着を起こす
DNAを傷つけ、肌の老化や皮膚がんを誘発する恐れ
UV-C:地上にほとんど届かない
日常生活(散歩・買い物等): SPF10 ~20 PA+ ~ ++
軽い屋外活動やドライブなど: SPF20 ~ 30 PA++ ~ +++
晴れた屋外でのスポーツや海水浴:SPF50+ PA++++
ただし、SPFやPAは一定量をつけたときの効果を示すとされていますが、実際はその必要量の半分程度しか塗ることができていないといわれています。
〈日焼け止めの成分〉
・紫外線吸収剤
吸収剤が紫外線を吸収し熱などのエネルギーに変換して排出
無色透明のため白浮きせず塗り心地がなめらか
吸収剤の配合量は法律で規制されている
・紫外線散乱剤
高い屈折率を持つ無機粉体
物理的に反射・散乱することで紫外線から皮膚を守る
白色の粉体のため白浮きして見える場合もある
散乱剤だけでつくられた日焼け止めは「ノンケミカル」と表示されることもある
紫外線吸収剤は肌によくないイメージをもつ方もいますが、背景に、紫外線吸収剤のひとつである「オキシベンゾン」が表示指定成分になった経緯が関係していると考えられます。サンゴに有害な成分との理由で、ハワイ州の海岸では使用禁止とされている他、EUでは環境ホルモン作用が問題視されたことや、経皮吸収性が高いので体内に吸収される量が多いことから、代替が進んでいます。肌の上で化学反応を起こす成分のため、肌に刺激をあたえてしまうリスクがあるのも危険と見られがちな理由です。
しかし、近年では安全志向の高まりから、肌トラブルのリスクが低い紫外線吸収剤を組み合わせて使用したり、単一の紫外線吸収剤が多くなりすぎたりしないように配慮された日焼け止めが増えています。
紫外線吸収剤のメリットを活かした日焼け止めも増えており、一方的な紫外線吸収剤が悪いといった考えは見直されつつあります。
大気中には、約20%の酸素が含まれており、生物はこの酸素を利用し生命活動を維持しています。呼吸から生体に取り込まれた酸素のほとんどは、エネルギーを産生するために用いられ、最終的には水と二酸化炭素に分解されて呼気、便、尿、汗の形で生体外に排出されます。
酸素の一部は、外部からの様々な刺激を受け、反応性の高い活性酸素に変化します。
活性酸素とは、呼吸によって体内に取り込まれた酸素の一部が、通常よりも活性化された状態になることをいいます。ヒトを含めた哺乳類では、取り込んだ酸素の数%が活性酸素に変化し、正常な状態では体内の様々な成分と反応し、抗酸化酵素や抗酸化物質により速やかに除去されます。
〈活性酸素の発生メカニズムと種類〉
酸化力を持つ酸素(O₂)が、比較的容易に電子を受けてスーパーオキシド(superoxide:O₂・⁻)を生成し、さらに酸化が進むと過酸化水素(H₂O₂)、ヒドロキシルラジカル(・HO)を経て、最終的に水(H₂O)になるというものです。また、紫外線の暴露により酸素(O₂)が光などのエネルギーを吸収して一重項酸素(¹O₂)に変化したり、一酸化窒素(NO)を産生します。
活性酸素は、過剰な産生あるいは酸化ストレス(酸化反応により引き起こされる生体にとって有害な作用)による老化、がん、生活習慣病発症との関連が注目されがちですが、白血球から産生される活性酸素は、体内の免疫機能や感染防御の重要な役割を担います。また細胞間のシグナル伝達、排卵、受精、細胞の分化・細胞の自然死などの生理活性物質としても利用されています。
内外要因で過剰な活性酸素が誘発されたり、抗酸化酵素や抗酸化物質による防御メカニズムの機能が低下し十分に機能しなくなると、生体内の酸化還元反応バランスが崩れ、その結果として活性酸素が体内に蓄積し、細胞・組織に酸化ストレスが生じます。
〈活性酸素が過剰になる主な原因〉
・紫外線:皮膚における最大の要因は紫外線です。強い日差しに長時間皮膚をさらすと活性酸素発生量の増加につながり、光老化(紫外線の長期暴露によって起こる老化現象)や、シミの原因となります。
・放射線:放射線が体内の水分子に衝突して、活性酸素に変化させます。
・環境汚染物質:ダイオキシンの一種であるポリ塩化ビフェニル(PCB)などが体内に取り込まれ、もともと人体に含まれている物質と結びつくことで活性酸素が大量に発生します。
・有害化学物質:タバコの煙などでも発生し、血管内皮の組織障害、血栓の生成、脂質過酸化の原因につながります。肝臓がアルコールを分解するときにも、活性酸素が発生します。飲む量の多い人、アルコールに弱い人は、とくに注意が必要です。
・ストレス:ストレスを受けると一時的に血液の流れが悪くなり、これが元に戻るときに活性酸素が発生します。これを繰り返すことで、酸化が促進されます。
・過剰な運動:運動時には血流量や呼吸量を増やして多くの酸素を体内に取り込むため、過剰な運動は活性酸素の発生量を増やしてしまいます。
活性酸素が、生体内で常に産生されるにも関わらず、我々が体内の恒常性を維持できるのは活性酸素から自己を防御する抗酸化防御機構が備わっているからです。抗酸化防御機構は、活性酸素の産生を抑制したり、生じたダメージの修復・再生を促す働きを備えています。生体が有する抗酸化防御機構には、スーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼなどの内因性の抗酸化酵素に加え、ビタミンC、ビタミンE、カロテノイド類、カテキン類など外因性の抗酸化物質もあります。
2024年の新しい研究報告では、身体にとって悪玉とされる"活性酸素"が記憶の形成に必要不可欠であることが発見されています。
(悪玉因子、活性酸素が記憶形成に必要であることを解明―抗酸化物質の過剰摂取に警鐘―
京都大学・東京都健康長寿医療センター)
肌の老化は、肌の保湿力が失われることによる「乾燥」、メラニン色素が沈着することによる「しみ」、真皮の構造が乱れることによる「シワ」が関係しています。
さらに、肌の老化の原因の約8割は紫外線とも言われています。
紫外線を浴びることで皮膚の中では活性酸素が生じます。活性酸素は遺伝子、細胞膜の脂質や細胞内外のタンパク質、糖を酸化して機能を奪うことで、乾燥やしみ、シワなどの皮膚の老化の原因となります。
頭皮がヒリヒリする、ピリピリするなどの頭皮の痛みは何らかの危険信号である可能性があります。症状が悪化したり、毛髪の成長に悪影響を及ぼしたりする恐れもあります。
原因
① 病気
・接触皮膚炎
・頭皮神経痛
・毛包炎
・じんま疹
・帯状疱疹 など
② 外傷
頭皮に傷があることで、ヒリヒリとした痛みが起こっている
湿疹などを掻きすぎた場合や頭を強く掻いてしまう癖、爪を立てたり強すぎるシャンプーの仕方
⇒気づかぬうちに頭皮に傷がついている⇒傷から細菌が侵入⇒炎症・化膿
③ 日焼け
頭皮が日焼けするとヒリヒリする
紫外線を浴びすぎると炎症⇒頭皮のバリア機能が低下することでフケのように皮膚が剥がれる
⇒ヒリヒリとした痛みを感じる
④ 乾燥
頭皮が乾燥するとバリア機能が低下⇒感覚神経が活性化されて外部からのちょっとした刺激にも敏感になる⇒外部からの刺激に無防備になってピリピリやヒリヒリといった症状が出る
頭皮の痛みとともに頭皮の赤み、湿疹、抜け毛などがある場合、そのまま放置してしまうと悪化する可能性があります。
頭皮のヒリヒリが日焼けや外傷が原因で起こっている場合は自分で判断できると思いますが、皮膚疾患などの原因が疑われる場合、早めに医療機関を受診することをおすすめします。
〈石鹸とは〉
天然油脂(もしくは天然油脂が元の脂肪酸)から作られた界面活性剤です。
・天然油脂+苛性ソーダ(NaOH)…ケン化法
・脂肪酸+苛性カリ(KOH)…中和法
合成界面活性剤は化学合成で生成された界面活性剤で、
「石油由来の成分からつくられたもの」と
「天然由来の成分からつくられたもの」があります。
〈他の界面活性剤と大きく違う特性〉
ある条件を与えると界面活性作用(油脂と水を混ぜ合わせる力)が簡単に失われます。
●薄まると汚れを放す
たとえば、身体を洗うとき。石鹸は水でさっと流せばもうそれ以上皮脂を取ることがありません。石鹸が洗浄力を発揮するためには、ある程度以上の濃度が必要です(臨界ミセル濃度)。そしてその濃度を下回ると、汚れを捕まえる力を失ってしまいます。これを「界面活性作用を失う」「失活する」と表現します。
使ったあと排水として放出されてもすぐに洗浄力を失いますから、浄化槽のバクテリアや水生生物に界面活性作用を及ぼすことはありません。石鹸は、排水として海や川に流れたとしても、短期間で大部分が水と二酸化炭素に生分解(微生物による分解)されます。残りの物質は石鹸カスとなって環境中に流れますが、それも微生物や魚のエサとなり分解されます。
●酸に弱い
石鹸はアルカリ性ですので、酸性の物質に出会うと中和されて洗浄力がなくなります。皮脂汚れも「脂肪酸」という酸性物質が主となる酸性汚れです。
●ミネラルに弱い
水にはカルシウムやマグネシウムといったミネラル成分が含まれています。これらのミネラル成分は水の性質を決める重要な要素で、硬度成分とも呼ばれます。硬度成分の多い水は「硬水」と呼ばれます。石鹸は、ミネラル分と出会うと水に溶けない金属石鹸に変化してしまいます。金属石鹸は、俗に「石鹸カス」とも呼ばれます。金属石鹸には良い点もあります。肌にひきしまるような爽快感を与えたり、髪の毛にツヤを与えたり。しかし、髪にたくさん残るとゴワついたり、きしみの原因になったりします。洗濯だと、色の濃い衣類を白く汚すこともあります。そのため硬水では石鹸が使いにくいと一般的に言われます。ただ、日本の水は海外ほどミネラル分が多くない傾向があります。硬度成分の少ない水は「軟水」と呼ばれます。軟水の場合は、洗濯や食器洗いにはアルカリ助剤入りの石鹸を使う、シャンプーでは酸性リンスをきちんと行うなどの対策を取ればほとんど問題は起こりません。
●冷水では溶けにくい
石鹸の原料であり、洗浄力の元となっている脂肪酸は20度以下の冷水には溶けにくい性質があります。40~50度くらいないと溶けない脂肪酸もあります。
〈環境問題〉
合成洗剤はかつて、泡公害や富(ふ)栄養化(えいようか)の原因になっていました。以前の合成洗剤は簡単に分解できなかったため、川で泡が発生する泡公害が問題になったのです。さらに合成洗剤に含まれていたリン化合物は、湖沼(こしょう)などに植物プランクトンを大量発生させる富栄養化の原因になりました。
しかし現在では、分解しやすい界面活性剤に改良され、リン化合物を排除した無リン化洗剤に切替わっています。さらに下水処理能力も向上し、90%以上の有機物と界面活性剤を除去できるようになっているため、水環境への影響はほぼないとされています。
とはいえ、現在の下水処理能力でも、界面活性剤を100%除去できるわけではありません。除去できなかった界面活性剤は、魚のエラ組織を傷つけたり、酸素不足にさせたりするため、合成洗剤が完全に環境にやさしくなったとはいえないでしょう。
合成洗剤と石鹸を比べると、「石鹸の方が環境にも人にもやさしい」と思われる人が多いかもしれません。しかし実際は石鹸も無害というわけではなく、使いすぎると水環境を汚染する原因にもなります。合成洗剤は改良が重ねられ、水環境を汚染しにくいものに変化しています。人体へも、普通に使用している分には害がないと立証されてもいます。しかし、合成洗剤に限らず、調味料である塩であっても、摂りすぎると人体に害をおよぼします。
つまり、なんでも使いすぎれば、何かしらのリスクはあるということです。大切なのは、合成洗剤と石鹸のどちらか一方を危険だと決めつけて使用しないのではなく、どちらも使用する量をなるべく控えること。どちらも使いすぎないことで、環境にも人にもやさしくなれるのです。
円形脱毛症は毛髪が抜ける病気ですが、年齢は幼児から高齢者まで、症状は軽症から重症まで、様々です。頭髪ばかりではなく、眉毛やまつ毛、髭や体毛にも生じることがあります。頭部に1か所だけ脱毛が生じた場合には、円く抜けた形になります。しかし、多発してそれぞれの脱毛斑がつながった場合や、頭部全体、頭部以外の部位の毛髪も抜けた場合には脱毛の形は円形ではなくなります。
円形脱毛症は患部にかゆみを生じやすいと言われています。円形脱毛症でかゆみが生じる原因としては、頭皮の汚れ、頭皮の乾燥、ストレス、円形脱毛症の改善などが考えられます。数週間で自然に治る方がいる一方で、治療しても効果がなく生涯にわたり脱毛が続く場合もあります。しかし、脱毛が広範囲にわたる場合長くかかることが多いようですが、毛根がなくなるわけではないので、発毛する可能性はあります。
〈メカニズム〉
自分のリンパ球が自身の毛根を攻撃してしまうがために毛髪が抜けるという自己免疫が関与
自己免疫疾患と併発する場合がある
〈免疫機能の異常を発生させる要因〉
疲労や感染症などの肉体的・精神的なストレス
体質的な素因(円形脱毛症患者の40%以上がアトピー素因)
〈注意点〉
円形脱毛症の患者の約4分の1は、15歳以下の子ども
・ストレスを起因とする場合がある⇒病院での治療+ストレスの原因を取り除く
・抜毛症(トリコチロマニア、自分で頭髪を抜いてしまう疾患)と混同しないように注意が必要
見分け方…抜毛症は 脱毛斑の境界があいまい
毛が途中でちぎれている
利き手側に脱毛斑が集中している
・人間関係で悩みを持つおとなしい性格の子どもや思春期の年代に多く発生
円形脱毛症の疑いがあれば、まず皮膚科などの専門医療機関を受診して相談しましょう。円形脱毛症かそうではないのか、治療が必要なのか必要でないのかなど、素人判断は危険です。
一般的に白髪が生えはじめる平均的な年齢は男女とも35歳を過ぎたころからとなります。これより低年齢での白髪は若白髪と言えるでしょう。現在10代~20代でも白髪になる人が増えています。
〈若白髪の特徴〉
毛根形態、髪の違いはない
頭部にランダムに全体的に広がる(加齢によるものはもみあげを中心に広がる傾向)
病的な場合一ヶ所に集中して白髪が発生することもある
遺伝的要因が強い
病気の可能性もある(栄養が不足し、髪にまで行き渡らなくなる)
円形脱毛症の後は白髪が生える確率が高い
〈一般的な白髪の原因〉
・加齢
・遺伝
・栄養不足
・頭皮の血流不足
・ストレス
白髪は老化や遺伝など避けられない原因もありますが、毎日の何気ない生活習慣やストレスなどが原因になっていることも少なくありません。
日々のちょっとしたケアや心配りで白髪予防につながることもあります。
・紫外線
・水道水の塩素
・スマホを見る姿勢(うつむきがちの姿勢で血行不良になる)
・喫煙
・カラー・パーマ
髪は体の一部なので、全身の健康に悪影響を及ぼす生活習慣は、髪にとっても悪影響だといえます。逆に全身が健康になるライフスタイルが、髪にとってのよい生活習慣です。
汚れを落とすことは、スキンケアの第一歩です。頭皮・頭髪、お肌の環境を整えるためには頭皮やお肌を清潔にすることが大切です。皮膚の汚れは多くの皮膚トラブルの原因になります。洗浄によってお肌を清潔に保つことが大切です。
〈肌の汚れ〉
剥離した角質(老化角質)
酸化した皮脂 + 汗が乾いて残った塩分や尿素
ちり、ほこり、細菌(老廃物)、あるいは化粧品の残りなど
⇒不快臭、ベタつきによる不快感⇒皮膚上の生理作用を妨害⇒炎症、浮腫などの刺激
水洗いだけでは落とせない
皮脂やメークアップ化粧品などの油になじむもの
汗の塩分やほこりのような水になじむもの
↓
水洗いだけでは落とせない
このため昔から石鹸が使われてきました。石鹸はその構造の中に水になじむ親水基と油になじむ親油基を持っている(界面活性剤)ために洗浄能力を発揮します。シャンプーやクレンジングなどは界面活性剤で汚れを落としています。
湯シャンは、シャンプーやコンディショナー、トリートメントなどを一切使用せず、お湯だけで頭皮の汚れや皮脂を落とす方法です。
シャンプーなどの使用をやめることで、頭皮や髪にかかる負担を抑えられるのがメリットのひとつです。シャンプーに含まれる洗浄剤は頭皮に必要な皮脂まで落とすことがあり、場合によっては頭皮が乾燥しやすくなりますが、シャンプーをやめることで、頭皮に必要なうるおいを残すことができます。
しかし、整髪料はお湯だけで落とせないため、シャンプーをしないと髪に整髪料が残り、頭皮トラブルに繋がる可能性が懸念点です。さらに、皮脂量が多い場合はお湯だけですっきり落とすことが難しく、頭皮に皮脂が残ると臭いや頭皮トラブルの元になります。
バスタイムをより良いものにしてくれる入浴剤。
その歴史は古く、日本人は昔からお湯に何かを入れて入浴するといったことを行ってきました。入浴剤にはさら湯の刺激を緩和し、お湯をやわらかくする効果があります。入浴剤の効果は種類ごとに異なりますが、どの入浴剤でも共通しているのがこのお湯をやわらかくしてくれる効果です。入浴剤を入れることで、肌あたりがやさしくなり快適に入浴できます。
化粧品:「入浴剤」 配合成分によって、皮膚にうるおいを与える保湿効果や皮膚の汚れを落としやすくする効果など
雑品(雑貨):「入浴雑貨」 使用したときの湯船の色や香りを楽しむことが目的
現在医薬部外品として厚生労働省の承認許可を得て販売されている入浴剤は、その成分やいくつかの商品で実施している皮膚刺激性テストの結果からみて、問題となるような皮膚刺激性は認められておりません。但し、ごくまれにアレルギー反応を示す人がいますので、その場合は使用を中止してください。 商品に表示されている成分を確認してから使用してください。入浴剤は湯の中に規定量を投入し、快い香りを与え、『温浴効果による諸症状の緩解』が期待できると認められたものです。
この湯は洗髪、洗顔にはお使いになれますが、すすぎは清水をお使いください。入浴剤には風呂釜へダメージを与えるもの、残り湯を洗濯に使えないもの、などがありますので入浴剤のパッケージを確認しましょう。
爪は、指先の保護や指先の微妙な感覚などにおいて重要な役割を担う上皮組織です。
健康的な爪は全体的に薄いピンク色をしています。しかし、さまざまな原因により、爪が変形したり、色が変化したりします。
●爪が割れる(欠ける)
爪に縦線(筋)が出る
老化現象のひとつ
進行すると爪が横や縦に割れたり、欠けたりする
水仕事による乾燥や除光液の使用などで爪の水分が失われる
妊娠や授乳、加齢によって爪の主成分であるンパク質の一種・ケラチンが不足する
⇒もろくなって割れやすくなる
爪が縦に割れる原因ははっきりわかっていませんが、甘皮の異常によって起こることがある
●爪に横線(筋)が出る
爪母(そうぼ)になんらかの障害が起こって爪(そう)甲(こう)の成長が一時的に抑制され、横線が発生する
爪を噛む、外部から衝撃が加わるなどの外傷によって横線や横溝ができる(外傷を受けた爪のみに生じる)
すべての爪に横線が1本出る(発熱性疾患や感染症、糖尿病、薬剤の影響、出産、亜鉛欠乏症などが原因)
●爪がでこぼこ
・波を打つように、爪の表面に次々に横方向の溝ができている状態(波(なみ)板状(いたじょう)爪(そう))
健康な人にも起こりうる症状で、爪母を覆う皮膚をほかの指でおさえる癖がある人に多く、特に手の親指によくみられる
・先の尖ったものでつついたような凸凹ができている状態(点状陥(てんじょうかん)凹(おう))
乾癬や円形脱毛症と関連して生じることもある
●爪が薄い
低色素性貧血や甲状腺機能亢進、末梢循環障害、先天性角化異常症など、爪母になんらかの病気が影響して変化が生じ、爪が薄くなる
●爪が二枚に分かれる(二枚爪)
爪の先端のほうの表面が薄く層状にはがれる
爪の割れと同様に、爪の水分量の低下や栄養不足が関係
水分が失われた爪の先に爪切りなどで大きな力が加わると、二枚爪を生じやすくなる
鉄欠乏性貧血が原因で起こることもある
●爪が濁る、白くなる
・爪白癬(爪水虫)⇒爪の色が濁って分厚くなる
白癬菌に感染することで起こり、特に足の爪に多くみられる
足の親指の爪が濁って分厚くなり、表面がでこぼこして弓型に曲がることもある
外傷や合わない靴などが原因で発症
・手の爪では、指先から爪甲が浮き上がって白くみえる(圧倒的に女性に多く発症)
接触皮膚炎やカンジダ感染、尋常性乾癬などが原因
このほか、尿に大量のタンパクが排出されるネフローゼ症候群、貧血、糖尿病などによっても生じるが、原因が不明なこともある
●爪が黄色になる
爪の栄養障害や感染症、柑皮症(かんぴしょう)、黄疸などによる
白~黄色っぽく濁った場合は爪白癬の可能性がある
●爪が緑色になる(グリーンネイル)
細菌の一種である緑膿菌に感染
湿度の高い環境を好む細菌
爪甲が浮き上がっている場合は、爪甲の下に入って繁殖する
ジェルネイルなどの付け爪により、爪甲とのあいだに隙間が生じて湿度が高くなることでも、緑膿菌に感染しやすくなる
●爪のヘリが食い込む(陥入(かんにゅう)爪(そう)、巻き爪)
爪のへりの部分が曲がって皮膚に食い込んだ状態
ひどくなると、皮膚が赤く腫れて出血し、激しい痛みのために歩行が困難
最大の原因は、爪の切りすぎ(深爪)
予防は、爪は指の先より長く、四角く切るようにすること
●爪がスプーン状(スプーンネイル)
爪甲が反り返った状態
原因は、指腹に爪甲が支えられる以上の力が日々加わること
爪甲が指腹に加わる力を支えるためには、爪甲の両側が皮膚と繋がっていることが必要
爪を切る時に、爪甲の両側を丸く切る⇒爪甲の両側縁が短くなる⇒爪甲は指腹に加わる力を支えきれなる⇒スプーンネイルになる
鉄欠乏性貧血が進行すると、爪がスプーン状に変形することがある
爪の病気によって症状が出ている場合は、皮膚科を受診して治療しましょう。健やかな爪を育てるうえでは、食事とあわせて質のよい睡眠やストレスの緩和、規則正しい生活も大切なポイントになります。また、爪の保湿や切り方も重要です。
爪も皮膚の一部です。爪は、髪と同じタンパク質の一種・ケラチンで構成され、皮膚の角質が変化して硬くなったもので、1枚の爪も3枚の薄い爪が合わさった三層構造でできています。 普通、「爪」と呼んでいる硬い部分は爪甲といいます。爪甲は、皮膚に埋もれている爪の根元にある爪母で生まれて、爪床(爪と皮膚がくっついている部分)の上を滑って前方に押し出されていきます。 爪の伸びるスピードは、健康な成人で1日約0.1mm。1か月で約3〜4mm伸びます。すべてが生まれ変わるには3〜4か月かかります。足の爪は手の爪に比べて約30〜50%ほど成長速度が遅いといわれています。 爪の役割は、指先を保護することや小さな物をつかみやすくすることなどです。足の爪には、安定して体を支え、歩く時にも指先に力を入れる働きを担っています。 マニキュア・ジェルネイル マニキュアでは「ポリッシュ」と呼ばれる液体を爪に塗って、ネイルを自然乾燥させます。ジェルネイルでは、とろとろしたジェル状の液体を爪に塗り、専用のUVライトなどを使ってジェルを固めていきます。 マニキュアが除光液で簡単に落とせるのに対し、ジェルネイルは専用のリムーバーを使って丁寧に除去する必要があります。 また、マニキュアには有機溶剤が含まれているため、独特のにおいがします。一方でジェルネイルは、ほぼ無臭です。 マニキュアのメリット・デメリット
〇自宅で気軽にできる 〇簡単に落とせる ✕乾燥するのに時間がかかる ✕早ければ2~3日ではがれ始めてしまう
ジェルネイルのメリット・デメリット
〇強度が高く、ネイルが長持ちする 〇発色の良さ、ツヤ感、可愛い見た目 〇デザイン性が高い ✕サンディングで、爪が傷つく ✕爪との間に湿気が溜まって、カビが発生してしまう場合がある(グリーンネイル)
除光液・アセトンの問題点
多くの除光液はアセトンが主成分です。ジェルネイルを落とす場合には、アセトンそのものをネイルオフの際に使用しています。
アセトンは油を溶かすことができます。そのためアセトンが使われている除光液を使うと爪の油分までもが除去されてしまい、爪が乾燥し白くなってしまうことがあります。爪だけでなく皮膚も乾燥するため、使用する際には除光液を多く使いすぎないようにしましょう。
汗の成分のほとんどは水分で、もともと臭いはありません。体臭を生み出すのは汗そのものではなく、皮膚にすみついている皮膚常在菌です。皮膚には、表面1cm2当たりに20〜30種類、数十万個の細菌が存在するといわれ、肌を乾燥や病気などから守っています。これらの皮膚常在菌が汗や皮脂に作用し、これらに含まれる脂質やタンパク質、アミノ酸などの成分が酸化、分解されて、脂肪酸などの揮発性成分を発するようになります。
体臭はだれにでもあるものですが、通常は風呂やシャワーをあびて、下着や服を着替えていれば気になることは少ないはずです。
〈体臭の強さが気になる場合〉
腋臭症 ・わきの臭いの異常
ミドル脂臭・中年に発生する頭の後ろから首にかけて、使い古した油のような臭い
・汗のなかの乳酸が、皮膚常在菌に代謝・分解されることによって
ジアセチルが発生
加齢臭 ・中高年になると出てくる、枯草や古本のような臭い
・原因はノネナール
・年齢と共に皮脂中にパルミトレイン酸(ヘキサデセン酸)が
含まれるようになり、パルミトレイン酸が酸化や皮膚常在菌により分解され
ノネナールが発生
それぞれに含まれる成分によって発生する臭いは違います。
汗腺 エクリン腺
・ほぼ全身に分布
・暑いときや運動したときなどにかくサラサラとした汗を分泌
・主に体温調節の役割
・エクリン汗は約99 %が水で、ほかは塩分やアミノ酸、尿酸など
・汗をかいて汚れがつくと菌が増殖しやすくなり、時間とともにアミノ酸などが
分解されて体臭が発生
アポクリン腺
・主にわきや性器周辺などにある
・アポクリン汗腺は、水のほかにタンパク質や脂質、脂肪酸など、独特の臭いの
もとになりやすい成分を多く含んでいる
・元来、アポクリン汗腺の臭いは性的に異性をまねきよせるなど、動物における
フェロモンに似た役割を果たしていたと考えられている
・思春期には性ホルモンの影響によって、アポクリン汗腺から分泌される汗の量が
増加するので、体臭が強くなる場合がある
・わきの臭いに悩む人は、アクポリン汗腺の数が多く、サイズも大きいと
いわれている
〈足独特の臭いの原因〉
・多量にかく汗、角質、靴
・足裏には背中や胸に比べて5〜10倍の汗腺があり、1日にコップ1杯ほどの汗をかく
・足裏は、体で最も角質が厚い部分のため、靴下や靴で密封された中で汗が蒸発せずにこもると、角質がはがれ落ち、それを栄養分として雑菌が繁殖し、足の臭いを発生させる
〈体臭を強める原因〉
・乱れた食生活、運動不足、過剰なストレスなどの生活習慣
・肉を中心とした食生活や運動不足は、臭いのもとになる皮脂を増やす
・ストレスは過酸化脂質をつくる活性酸素を増加させる
サラサラした良い汗は蒸発しやすく、皮膚を弱酸性に保ち、雑菌の繁殖を抑えるので臭いが発生しにくくなります。良い汗をかくには、しっかり汗をかいて汗腺の機能を高めることが大切です。汗腺の機能を高める方法としては、運動で汗をかくことと、湯船に浸かりしっかりと発汗することです。汗が臭いを発生させるまでは約1時間ですので、こまめに汗を拭き、汗の成分や雑菌、皮脂汚れを取り除くことも体臭対策になります。
あぶらくさい臭いは脂漏性皮膚炎が原因であることが多く、また糖尿病になると糖の分解が進まないため甘酸っぱい臭いがするといわれます。また甲状腺機能亢進症やパーキンソン病になると、全身の代謝が亢進し、皮脂腺が刺激され、独特の体臭がでるようになるといわれています。それまでと違う体臭を強く感じるようになったら医師に相談しましょう。
・ヒトに寄生するシラミには、アタマジラミ・ケジラミ・コロモジラミの3種類
・皮膚から吸血してかゆみや湿疹を起こす
・シラミはオス・メス関係なく、また幼虫から成虫まで一生を通して吸血する
・ヒトに寄生するシラミは他の動物には寄生せず、他の動物に寄生するシラミはヒトには
寄生しない
・ヒトから離れたシラミは吸血できないので2~3日で餓死
・運動能力は低く、ハネもないので飛ぶこともできない
・繁殖力が非常に強く、爆発的に数が増えていくので、早期発見が重要
アタマジラミ
子供たちの間で集団発生するアタマジラミ。体長は2㎜~4㎜ぐらいで、人間の頭髪に潜むシラミです。セメントのような硬い物質でしっかりと髪の毛に卵を固着させ、産み付けます。卵は側頭部や後頭部、耳の後ろをよく観察すれば見つけられます。灰白色の楕円形で、髪の毛に付着しています。寄生している成虫は動いて逃げるため見つけにくいので、卵を発見する例がほとんどです。
アタマジラミは頭髪に寄生して頭皮から血を吸います。吸血時の唾液成分でアレルギー反応を起こしてかゆみや湿疹が現れます。かゆみには個人差があり、アタマジラミがかなりの数に増えるまで感染に気づかないこともあります。 ひどい場合には首のリンパ節が腫れることもあります。
幼児や小学校低学年児童など、頭をくっつけて遊ぶことが多い年齢での感染率が高くなっています。また、お昼寝やお泊り保育の時なども注意が必要です。子供に添い寝する大人も感染に注意しましょう。毛と毛が接触することでヒトからヒトへと感染が広がっていくので、清潔にしていても感染します。
予防方法:頭の接触を減らすこと・体に触れるものを共用しないことです。クシやブラシ、タオルや帽子などを他の人と使い回ししないようにして下さい。プールやお風呂など、水の中ではシラミは毛から落ちないよう強くしがみついているので、うつることはまずないと考えていいでしょう。感染してしまっても、シラミ駆除専用パウダー剤及びシャンプー剤が市販され、広く使用されています。髪から落ちたシラミは吸血できず2~3日で餓死しますので、あまり神経質になることはありません。感染部を拭いたタオルや、使用した寝具などは他の洗濯物と分けておきましょう。シラミは熱に弱いので、付着している幼虫・成虫・卵は60度以上のお湯に5分以上浸けることで死滅します。衣類乾燥機やアイロンの使用も効果的です。尚、通園・通学の規制はありません。
ケジラミ
アタマジラミよりも小さ目で体長は1㎜~2㎜ぐらいです。主に性交渉がきっかけとなり陰毛に寄生する事が多いのですが、ケジラミの場合は陰毛以外の体毛や頭髪にも寄生する事があります。
コロモジラミ
体長は2㎜~4㎜位で人間の衣類に寄生して人間の血を吸って生きているシラミです。卵も衣類に産み付けますので、衣類中に卵、成虫、幼虫と共に潜んでいる状態です。昔は被害も多く報告されていた種類ですが、最近ではこまめに洗濯する習慣が定着しているためにコロモジラミによる被害は減りつつあります。
界面活性剤は構造中に、水になじむ親水性部分である親水基と水になじまない親油性部分である疎水基の両方を持っているため、少量で水や油の表面または界面の性質を変化させることができます。
界面活性剤はや石鹼やクレンジング剤などに広く利用されています。汚れがついている肌に界面活性剤を接触させると油の汚れには親油基を内側に向けて油汚れを取り囲み、親水基を外側に向けて吸着します。次に油汚れの表面は界面活性剤が取り囲んだまま水の中に小さな粒となって分散し、汚れをきれいに落とすことができます。
また、乳液やクリーム、化粧水などの化粧品に界面活性剤が使われる主な理由は、化粧品の安定性を保つためと美容成分の浸透を促すためです。水と油のように、本来混ざり合わない液体同士が混じり合った状態に変化することを「乳化」といい、界面活性剤はその状態を安定させる乳化作用があります。また、浸透性を高めるという役割もあります。
化粧品の中には、化粧水などの透明なものもあります。化粧水のように見た目は透明でも、実際には、香料、うるおいや柔軟効果のための油、防腐剤、脂溶性のビタミンなど油性成分を含ませている場合があります。本来、水に溶けないはずの油性成分が、透明になって水に混じる現象が「可溶化」です。少量の界面活性剤が水に溶けているときはバラバラに溶けていますが、界面活性剤の濃度が高くなると界面活性剤どうしが集まって、球状の集合体を形成します。界面活性剤がこのように集合したものを「ミセル」と呼びます。親水基を外側に向けて球状になると、親油基と水の接触がなくなるため安定した状態になります。このミセルの中には油性成分をとりこむことができます。
自然界に存在する天然界面活性剤には、大豆や卵黄に含まれるレシチン、牛乳のカゼイン、大豆・ムクロジ、高麗人参など多くの植物に含まれるサポニンなどがあります。サポニンは気泡力があり、かつて多く含む植物が石鹸代わりとして使用されていました。しかし、天然界面活性剤の活性力は弱いため、化粧品に利用される界面活性剤は合成のものが主流になっています。
2001年3月までは、アレルギーや皮膚障害を起こす可能性が高い102種類の成分(旧指定成分*1)を含まないものを「無添加」としていました。しかし、現在は全成分表示制度となったため、その定義は廃止されています。
現在「無添加化粧品」という言葉は、石油系合成界面活性剤、防腐剤、合成香料、合成着色料、鉱物油、旧表示指定成分といった特定の成分*2が配合されていない化粧品のことを指すことが多いですが、明確な定義はありません。それぞれのメーカーが独自に指定した成分が入っていないという意味で「無添加」と表示されています。「無配合」「不使用」「○○フリー」「ノン○○」などの表現も同じことです。
「無添加化粧品」として、どのような化粧品成分が配合されていないかを明確にすることで、特定の成分にアレルギー反応を持っている人にとっては有効です。アレルギーや肌荒れを引き起こす可能性を未然に防ぐことができます。
*1 化粧品においては、2000年以前は化粧品に全成分表示が義務付けられておらず、その中で消費者が医師からの情報をもとにアレルギー等の皮膚障害を起こすおそれのある製品の使用を自ら避けることを目的に、1980年に厚生省(現 厚生労働省)によって告示された成分を「表示指定成分」とし、表示指定成分を化粧品に配合するときは容器または包装に明記することが義務付けられていました。
2001年4月には、製品に配合した全成分の表示が義務付けられたことから、表示指定成分の表示は廃止され、これらに指定された成分は現在「旧表示指定成分」と呼ばれています。
全成分表示の義務化以降の安全性が重視された化粧品市場において、皮膚障害の報告が比較的多いなど問題のある成分はほとんど使用されなくなる一方で、品質の向上、安全性データの蓄積および使用実績などを背景に、定められた配合範囲において安全性に問題がほとんどないと判断されたものに関しては、現在も化粧品に欠かせない成分として使用され続けています。
*2 その他、合成ポリマー、紫外線吸収剤、アルコール、酸化防止剤、サルフェート、収斂剤、ナノ化物質、キレート剤について特定の成分とされる場合があります。
ナチュラルコスメ(自然派化粧品)
石油由来の化学合成原料をできるだけ使わずに、植物エキスや精油といった天然由来原料を中心にしてつくられたコスメのことです。ただ「ナチュラルコスメ」には明確な定義や認証機関などがないので、商品によっては化学合成原料も多く入っているということがあります。ナチュラルコスメ=全成分がナチュラルというわけではありません。
オーガニックコスメ
化学肥料ではなく有機肥料を使い、遺伝子組み換えもおこなわずに作物を育てる、環境に負荷をかけない栽培方法で育った天然由来原料をつかってつくられたコスメをいいます。
「オーガニック」はもともと、「有機的な」という意味の英単語です。有機肥料を使い、遺伝子組み換えもおこなわずに作物を育てる、環境に負荷をかけない栽培方法で育てられた野菜は「オーガニック野菜」といいます。
「ナチュラルコスメ」と同じく、化学合成原料が全く使われていないというわけではありません。オーストラリアの「ACO」やフランスの「ECOCERT」など、海外にはいくつかの有名なオーガニック認証機関があり、それぞれが独自の厳しい基準を設けています。日本ではいくつかの認証団体が独自の基準で化粧品の認証を始めていますが、その基準もそれぞれの団体によって異なっているため、普及性があり信頼性が高いものとして受け止められていないのが現状です。ブランドによって、オーガニックコスメの認証を取得しているところもあれば、自社で基準を設けているところもあります。ひとつでも有機栽培でつくられた天然由来原料を使っていれば「オーガニックコスメ」と呼ぶことが可能なのです。
薄毛とは、頭髪の量が減って地肌が見えてしまう状態
〈抜け落ちて本数そのものが減ってしまう場合〉
毛髪の成長には毛周期があり、各周期は次の段階から構成されます。
成長期:持続期間は2~6年間、退行期:持続期間は3週間、休止期:持続期間は2~3カ月間。休止期の終わりになると、その毛髪は抜け落ち(脱毛期)、新しい毛髪が毛包の中で成長を始めて新たな周期が始まります。正常であれば、毎日50~100本程度の頭髪が休止期の終わりを迎え、頭皮から抜け落ちていきます。
毛周期の乱れの主な原因
・ホルモンバランスの乱れ
・加齢、生活習慣の乱れ
・慢性疲労、ストレス、内科疾患など
⇒頭皮の血行が悪くなる⇒毛根に栄養が行き渡らない⇒髪の毛の成長が遅くなる⇒新しい髪の毛自体がなかなか生えてこなくなる
〈本数は変わらないまま毛が細くなる場合〉
髪の毛が細くなる原因
・子どものころから髪が細い場合…遺伝が主な原因
・大人になってから細くなった場合…髪の栄養不足
栄養バランスの偏った食事(脂肪分の多い食事、ダイエット)、
喫煙、加齢、睡眠不足、
誤ったヘアケアやパーマ・ヘアカラーによる髪へのダメージ蓄積など
脱毛症や内臓疾患など
目の下のクマには大きく分けて茶クマ、青クマ、黒クマ、の3種類があります。それぞれの特徴は以下の通りです。
茶クマ:目の下の皮膚に色素が沈着して茶色くなるタイプです。目の下の薄い皮膚は、少しの刺激で色素沈着を起こします。目の下の皮膚にメラニン色素が沈着した影響で、茶色くなることがあります。この場合、目の下の血色感や透明感が失われ、くすんだ印象になります。朝起きて目を擦ったり、アイメイクを落とす際に強く擦ると、摩擦による刺激でメラニンが生成され、目の下の皮膚に色素沈着を起こしてしまいます。紫外線やスキンケア時の摩擦だけでなく、メイクの落とし残しも茶クマの原因になります。年齢を重ねターンオーバーが低下すると、メラニンの排出が上手くおこなわれなくなるため、さらに色素沈着が発生しやすくなります。
茶クマは目の下の皮膚が色素沈着を起こしてできるクマなので、美白・保湿ケアをおこなうことが改善方法になります。
青クマ:目の下の毛細血管の状態が悪く色が暗く見えるタイプです。血行不良によって、目の周りの肌に酸素や栄養が十分に届かず、代謝が低下します。顔の皮膚の厚さは部位によって異なり、目元の皮膚は平均0.6mmと非常に薄いため、皮下の状態が表面に影響しやすくなります。そのため、血行不良によるうっ血が生じると、酸素が不足した静脈が透けて見えることで、青っぽく見える青クマが生じます。疲労や睡眠不足、ストレス、冷え、鉄分・ビタミン不足、パソコンやスマートフォンの長時間使用などが、血行不良を引き起こす原因です。
黒クマ:目の下に涙袋やへこみがあって影ができるタイプです。骨格や脂肪の分布などが原因で起こります。加齢などで眼輪筋(がんりんきん)と呼ばれる筋肉や目元の靭帯がゆるんでしまうと、眼窩脂肪(がんかしぼう)と呼ばれる瞳のクッションの役割をする脂肪が前に出てきてしまい、目の下に影を作ってしまうのです。この場合、目の下に影ができて、黒く見えます。黒クマかどうかは、顔を上に向けて鏡を見ると判断できます。クマが無くなる場合は黒クマである可能性が高いということです。
化粧品においては、2000年以前は化粧品に全成分表示が義務付けられておらず、その中で消費者が医師からの情報をもとにアレルギー等の皮膚障害を起こすおそれのある製品の使用を自ら避けることを目的に、1980年に厚生省(現 厚生労働省)によって告示された成分を「表示指定成分」とし、表示指定成分を化粧品に配合するときは容器または包装に明記することが義務付けられていました。
2001年4月には、製品に配合した全成分の表示が義務付けられたことから、表示指定成分の表示は廃止され、これらに指定された成分は現在「旧表示指定成分」と呼ばれています。
●エチルアルコール
化粧品でアルコールと言っているのは、「エチルアルコール」のことで、成分表示では「エタノール」と記載されます。「エチルアルコール」は、無色透明の揮発性の液体で、様々な成分を溶かす作用に優れ、アルコール飲料にも含まれている成分です。化粧品に各成分を配合するために使用されています。 また他にもアルコールには、肌に残った皮脂や汚れを取り除いたり、肌を引き締めたりする効果があるため、拭き取り用化粧水や収れん系のアイテムに配合されることがあります。
体質的にアルコール過敏の方は、肌に赤みやかゆみが出る可能性があります。また、アルコールは揮発する際に肌の水分も奪うので、肌の乾燥につながることもあり、スーッとする感覚を刺激に感じる方もいるようです。
●シリコーン
シリコーン(silicone)とは、ケイ素(元素記号:Si)と酸素(元素記号:O)が交互につながったシロキサン結合(-Si-O-)を基本骨格にした有機化合物です。熱や光に強く、柔軟性があり、通気性が高いなど、さまざまな特長をもっています。とても安全な素材のため、日用品や食品、工業や医療の分野などで幅広く活用されています。
シャンプーやコンディショナーなどのヘアケア製品にも配合されることが多くあります。その効果としては、洗髪やすすぎの際に毛髪どうしの摩擦を軽減すること、そして、つややしっとり感のような仕上がりの質感をコントロールすることなどがあげられます。
シリコーンは、髪に過剰に付着することはなく、コンディショナーの成分としてのシリコーンも、洗髪時には洗い流されます。そのため、髪に蓄積したり毛穴に詰まることはなく、シリコーンが、髪や頭皮に悪影響を及ぼすことはないと言われています。洗髪時のすすぎが足りない事が、頭皮トラブルの原因になります。
●鉱物油
鉱物油は石油由来の油の総称です。機械の潤滑油やプラスチック、ゴムなどの工業用途や、医薬品、化粧品などさまざまな産業で使用されています。化粧品においては、肌から水分蒸散を抑えてうるおいを保ち、柔軟に広がり、均等に伸びる性質を活かし、スキンケア製品、メイクアップ製品、ヘアケア製品などに配合されています。ミネラルオイル、ワセリン、パラフィン、流動パラフィンなどの成分名で表記されています。
化粧品および医薬品用途の鉱物油は、高度に精製されたグレードで、不純物のレベルを現在の技術において最小限に抑えており、安全性が高く、安心して肌などに使用していただけます。
鉱物油は不飽和脂肪酸が含まれていないため、酸化することがほとんどありません。そのため長期間保管していても、成分や性質が変化しません。また、鉱物油そのものは肌に浸透する事はなく、 肌に油膜を作って乾燥から保護してくれる働きに優れています。
●合成香料
化学反応を利用した方法でつくられた香料です。原料は、天然原料、石油・石炭系原料、パルプ製造の副産物などから大量に入手できる化合物などですが、香り物質を得ることさえできれば原料に制限はありません。産地や気象状況によって香りやコストが異なる天然香料に比べて品質のばらつきがなく、統一された香りを安定的に製造することができ、天然香料よりも香りが長持ちするのが特徴です。天然香料は天然由来ですので、芳香成分以外の不純物を含んでいる特徴があります。また自然の植物などから抽出しているため、アレルギーを誘発させる可能性もあります。
ヘナは、ミソハギ科の植物を指しますが、ヘナを配合した天然原料の白髪染めの総称を「ヘナ」と呼ぶのが一般的です。
ヘナは草木染めと同じ仕組みで染まります。ヘナの葉には、ローソンという赤色酵素色素が含まれています。ローソンはタンパク質に反応してからみつき発色する性質があります。人の髪はもちろん、肌や爪も染まります。このローソンが、髪のキューティクルのすき間から浸透し、毛髪の97%を構成するケラチンというタンパク質(毛皮質)にアメ状に絡みつくことで髪が染まります。ヘナの葉を乾燥・粉末にしたものをお湯に溶いて髪に塗ります。ヘナのみだと白髪はオレンジ色にしか染まりませんが、藍色の色素をもつインディゴ(ナンバンアイ葉)などを加えることで2種類の色素が重なり、濃いブラウンに染まるようになります。
ヘナはキューティクルの隙間から浸透するときに、一緒に水分も髪の内部に抱き込むような形で入ってくれるので、ヘナで染めた後はうるおいがありハリも出ます。
髪のタンパク質に絡みつき、薄い皮膜を形成します。その皮膜は、乱れているキューティクルを保護し、髪にハリ、コシ、ツヤを与え、紫外線による毛髪へのダメージも防いでくれます。
また、ヘナを頭皮全体に塗ると、毛根に付いた余分な皮脂や汚れを吸収し、洗い流すことで頭皮が洗浄され、うるおいます。
一方、脱色してカラーリングするヘアカラー剤とは違い、植物性のヘナは、元の髪色に重なるようにして染まります。黒髪を茶髪にしたり、白髪と黒髪を同じ色に均一に染めることが出来ないデメリットがあります。また、ヘナで染めた色素は髪に残留し続けるため、ヘナで染めたオレンジを抜くことは困難で、他のヘアカラーで色味を変えたくてもスムーズにはできません。さらに、染めるたびに髪表面に蓄積していくため、パーマがかかりにくくなる可能性があります。
植物性でやさしいといわれているヘナであっても、 植物ゆえに「草木かぶれ」を起こす場合がまれにあります。特にインディゴ(ナンバンアイ葉)という成分が、 かゆみ、かぶれを引き起こすことがあります。
さらに、ヘナは、時間がかかります。美容室での施術で40分〜60分が目安です。時間をかけた方が染まることもあり、セルフカラーでは必要に応じて3時間以上放置することもあります。
一般的なカラー剤はアルカリ剤なので毛髪内部まで浸透します。一方マニキュアは酸性染料なので、毛髪内部までは浸透せず過度なダメージを抑える事が出来ます。また、基本的に頭皮を避けて塗布するので頭皮は傷みません。
ヘアマニキュアに配合されている酸性染料は、マイナスの電荷を持ち、毛髪を構成しているケラチンタンパクのプラス部分とイオン結合することで毛髪を着色することが出来ます。
アルカリ剤や過酸化水素水を使用しないので、毛髪へのダメージは無いと言われる事が多いようです。
しかし、染料を浸透させる目的で、ベンジルアルコールなどの浸透剤が配合されていることもあるので、毛髪への負担が全く無いとは言い切れません。ベンジルアルコールは、髪のキューティクルの表面の18-MEA(18-メチルエイコサン酸)を剥がしてしまうのです。18-MEAはキューティクル層の一番外側に存在し、髪を保護する必須脂肪酸の一つです。18-MEAを失った髪は、絡まる、引っかかる、切れるといった状態になってしまいます。
イボ(ウイルス性疣贅(ゆうぜい))
イボは、ヒト乳頭腫ウイルスというウイルスの一種が皮膚に感染してできます。ヒト乳頭腫ウイルスはhuman papillomavirusの日本語訳です。ヒトパピローマウイルスと書いたり、HPVと略して書いたりもします。
イボのウイルス(HPV)は正常の健康な皮膚には感染できないと考えられているのですが、小さな傷などがあるとそこから皮膚に入り込んで、基底細胞に感染してイボをつくると考えられています。感染を受けた基底細胞は細胞分裂が活発になり、まわりの正常な細胞を押しのけて増え続けます。理由はまだよく分かっていませんが、ある程度の大きさ以上にはなれないようです。イボができるためには小さな傷を通してウイルスが皮膚や粘膜に入り込み基底細胞に到達する必要があります。アトピー性皮膚炎の子供たちなどの特に引っ掻くことの多い肘・膝窩(しつか)(膝の裏)にイボができやすいのはこのためです。
ウイルス(HPV)の型の違いによって色々なイボができますが、そのうち代表的なものは、子供の手足にできるイボで、尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)です。顔にできる指状疣贅(しじょうゆうぜい)や足の裏にできる足底疣贅(そくていゆうぜい)も、見た目は違いますが尋常性疣贅の仲間です。尋常性疣贅以外では、顔や腕にできることが多い扁平疣贅(へんぺいゆうぜい)などがあります。
イボは、ウイルス(HPV)が感染してできる皮膚や粘膜の病気ですが、皮膚や粘膜は構造や免疫の働きなど様々なバリア機構でウイルスや細菌などの感染から守られており、正常の皮膚や粘膜には通常感染しにくいと考えられます。
ただし、皮膚や粘膜に小さい傷ができて侵入を許したり、様々な感染から私たちの身体を守っている免疫力が何らかの理由で低下すると、イボができやすかったり、ひどくなったり、治りにくくなります。したがって、免疫力の低下を引き起こすような病気にかかっている時、免疫を押さえるような治療を受けているような時やアトピー性皮膚炎などで皮膚のバリア機能が低下しているような時には、特に注意が必要です。また、手荒れや髭剃りなどに伴う眼に見えないくらいの小さな傷からも侵入しますので要注意です。
水イボ(伝染性軟属腫(でんせんせいなんぞくしゅ))
水イボは、ウイルス性の皮膚感染症で医学的には「伝染性軟属腫」といいます。
丸くてツルッとした、あわ粒くらいのやわらかいブツブツができて、徐々に増えて広がります。通常、周囲の皮膚と同じ色かやや白っぽい色をしています。ブツブツの真ん中はえくぼのようにへこんでいるのが特徴です。
水イボは、腕や足、おなかまわり、首まわりにできます。水イボを無理に潰したり、引っかいたりした手でほかの皮膚に触れると、ほかの部位に感染が広がります。かゆみや痛みはないことがほとんどです。
水イボのウイルスは、感染力が強く、直接的な接触やタオルなどを介して皮膚に付着し、毛穴や皮膚表面の小さな傷から皮膚内に侵入して感染を引き起こします。毛穴の中で増殖すると考えられており、毛穴があるところであれば全身どこでも発症する可能性があります。一方、毛穴のない手のひら、足の裏に水イボができることはありません。
発症例のほとんどは、1~6才の乳幼児で、皮膚のバリア機能が未熟な乳幼児や、アトピー性皮膚炎の子どもに多く発生します。
水イボはかゆみなどの炎症を伴うことはありませんが、水イボを掻き壊してしまい、手指を介して周囲の健康な皮膚にも水イボが広がったり、ほかの子どもに移してしまったり、とびひなどの細菌感染症を誘発したりするリスクが高まるため、医療機関を受診しましょう。
水イボに感染しやすい状況としては、学校やスイミングスクールのプール活動があります。プールの水を介して水イボに感染することはなく、あくまでも素肌同士の触れ合いや、ビート板・おもちゃなどの器具を共有することで感染が成立します。
もともと湿疹が出ている子どもや乾燥肌の子ども、アトピー性皮膚炎の子どもの場合は、ウイルス・細菌などから皮膚を守るバリア機能が低下しているため、水イボのウイルスが皮膚層の中に侵入しやすく、水イボへの感染リスクが高まります。
水イボを予防するには、日頃から乾燥肌や湿疹、アトピー性皮膚炎などによってダメージを受けた皮膚のバリア機能を正常化させることが大切です。
プール活動の際は、プールに入れる塩素消毒の影響で皮脂が除去され、皮膚のバリア機能が一時的に低下してしまいます。プールから上がった後は、保湿剤で保湿ケアを行いましょう。
首イボ(スキンタッグ)
首からデコルテにできる、肌色から茶色の小さなブツブツとしたできものは、アクロコルドンやスキンタッグ、軟性線維腫と呼ばれる皮膚の良性腫瘍であることが多く、顔、胸、おなか、脇の下などにできる人もいます。ドーム状や有(ゆう)茎性(けいせい)の、肌の色~黒褐色まで様々な色調のできもので、基本は軟らかいできものです。多くは無症状ですが、できものが衣類にひっかかったり、摩擦でねじれたりして、痛みを引き起こすことがあります。ウイルス性のイボではなく、他の人に感染することはありません。スキンタッグができやすい体質である場合や、加齢変化、紫外線や摩擦による刺激も原因の一つと言われています。
老人性イボ(脂漏性角化症)
手でさわる、あるいは拡大鏡で見ると、わずかに盛り上がったシミです。老人性イボという名がついたのは、中年以降の人の顔面、頭部、体幹にでき、一見イボに見えるからです。イボ状の皮膚良性腫瘍です。「老人性イボ」といわれますが、ウイルスによって起こるものではないので、正確には「イボ」ではありません。したがって、人に移ることはありません。
脂漏性角化症は、顔面、頭部、前胸部、上背部などの日光露出部によくみられますが、脇の下、脇腹、腹部、鼡径部(股)、陰部、大腿(太もも)など日に当たらない部分にも発生します。掌蹠(手のひら、足の裏)にはできません。
色は褐色調から黒色です。大きさは直径数mmから2~3cmくらいで、ややもり上がっています。平坦に見えても拡大鏡で見るとわずかに盛り上がっているのが特徴です。
通常はかゆみや痛みはありませんが、たまにかゆみがあります。大きくなるときにかゆみが出ることがあります。脂漏性角化症は自然に消えることはありませんし、悪性化して癌になることもありません。
顔、手足のシミは、長年日光にさらされることによって、日光に含まれる紫外線によって皮膚の表皮基底細胞の遺伝子に異常が起こることが原因です。異常が起こった表皮基底細胞は増殖して皮膚表面から盛り上がるようになり、表皮の色素細胞を刺激して大量のメラニンをつくらせて、濃い色の”シミ”になるわけです。したがって、一般にいう”シミ”は”平坦なシミ”と”もり上がったシミ”に分けることができ、”平坦なシミ”は”老人性色素斑”、”もり上がったシミ”は”脂漏性角化症”と言えます。
予防は顔、手足に関しては紫外線を避けることです。顔、手足以外の日光にさらされない部位は、加齢による表皮の遺伝子の異常なので、予防法は残念ながらありません。
体の中では、さまざまな化学反応が起こっています。それぞれの反応を引き起こすために触媒として必要なタンパク質が酵素です。触媒とは、そのもの自身は変化せずに化学反応を促進する物質で、酵素は生体が作りだすことから生体触媒と呼ばれます。ヒトを含む生物が、摂取した食べ物を消化・吸収・代謝したり、体の中で起こるほとんどの化学反応には、酵素がなくてはなりません。しかし酵素は、それぞれある特定の反応しか触媒することができません。例えば、タンパク質を分解する酵素は、タンパク質を分解することしかできず、でんぷんや脂質を分解することができません。でんぷんや脂質を分解するためには、また、別の酵素が存在し、それぞれ、でんぷんや脂質しか分解できないのです。これを酵素の特異性と呼びます。そのため、ヒトの体内には、約5,000種類もの酵素があると言われています。
体の中で働く酵素の中で、大事なものの一つが食べた食品を消化する酵素です。消化酵素は大きく分けると、でんぷんをブドウ糖に分解する酵素(アミラーゼ)、タンパク質をアミノ酸に分解する酵素(プロテアーゼ)、脂質を脂肪酸とグリセロールに分解する酵素(リパーゼ)に分けられます。また、体の中では消化の他に代謝においても重要な役割を果たしています。吸収された栄養素からエネルギーを作り出す反応、体内の有害物質を処理し尿などと一緒に排泄する反応の他、体の成長、免疫反応、体の調節機能などにかかわる多くの反応に酵素が関与しています。
食品に含まれる食物酵素は、生野菜や果物、発酵食品に含まれています。食物酵素は、ヒトの消化酵素を節約し、代謝酵素の量を増やしたり、働きをサポートする役割をします。
パパイヤに含まれる成分のパパインや、パイナップルに含まれるブロメラインは、タンパク質を分解する酵素であるプロテアーゼの一種です。
発酵とは食品に微生物が作り出す酵素が起こす良い変化のことで、微生物の酵素により発酵食品になります。味噌や醤油、納豆、パン、ヨーグルト、チーズ、キムチなど日頃から口にしている発酵食品が多くあります。
ドライスキンとは、肌の皮脂や水分が不足して“肌が乾燥している状態”のことで、“乾燥肌”または“乾皮症(かんぴしょう)”とも呼ばれます。 全身が常にカサカサしたり、洗顔の後、肌がつっぱったりといった不快な症状が出ます。肌のターンオーバーの乱れ、紫外線、加齢、誤ったスキンケアの影響、洗いすぎによる皮脂の欠乏、乾燥などの刺激によって、皮膚本来のバリア機能が低下し、肌が水分を失った状態です。
乾燥肌を放置していると、皮膚にあるかゆみの知覚神経が過敏になり、少しの外的刺激でもかゆみや湿疹などの皮膚トラブルが起きやすくなります。
原因
水分量を保つために角質層では、肌のうるおいに重要な役割を果たすアミノ酸や尿素など「天然保湿因子(NMF)」、セラミドなどの「細胞間脂質」が存在します。また、皮膚の表面に分泌される皮脂などで構成される「皮脂膜」で皮膚を覆うことにより皮膚を乾燥から防ぐはたらきをしています。
空気の乾燥や寒冷、衣類による摩擦などの刺激、紫外線により皮膚へダメージが加わることで、皮膚表面の乾燥が進みます。皮膚の洗いすぎやこすりすぎ、熱いお湯での入浴や石鹸の使いすぎ、不規則な生活や心身のストレスなども、乾燥肌を助長させます。また、加齢やターンオーバーの乱れでもバリア機能が低下します。
予防法
日頃から適切なスキンケアを行うことが大切です。
日常的なスキンケアでは、
洗う:皮膚についた汚れや化粧などをしっかりと洗い流す
補う:皮膚に不足している水分を補う
守る:空気の乾燥や紫外線などの外部刺激から皮膚を守る
の3つを意識してみましょう。
対処法
保湿クリーム、保湿剤は自分の肌に合うものを選び、十分な量を正しく使いましょう。入浴や手洗いの後は、こまめに保湿剤をつけましょう。